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2007-09-16

NHKスペシャル「激流中国 民が官を訴える 〜土地をめぐる攻防〜」

日本人には全く理解できないものを見てしまったという実感。以前、萩原遼氏の著作「金正日 隠された戦争」を読んだ際、北朝鮮では全ての食糧が配給だということが、頭では分かっても実感として理解できなかったが、その前提が分からないと飢饉でたくさんの人が死んだと聞いても事実が想像しずらい。つまり日本の戦国時代の飢饉とは、意味が違うのである。この現代中国における人民からの土地の取り上げ?も、中国の全ての人民は、国家の所有物としての土地の上に暮らしているのだということをまず理解しないことには、何が起きているのか分かりにくい。

都会のある町で洋品店とか食料品店を営んでいる夫婦が居たとする。ある日突然、来月からあんたの店も含めた近隣一体に、自治体が作るコミュニティー センターができるから期日までに立ち退けと突然言われるのである。立ち退いた後にほんの形式的な「保証」が約束される。代替の土地として別の地域がすでに 指定されているのだ。しかしその代替地は、とんでもなく人口の低いいなか村なのである。夫婦は思う。「もうやっていけない」「いっそのこと首をくくって死 のう」

なかには「いや自治体と折衝しよう」と言い出す人も現れる。そういう人達は弁護士をやとって闘い始める。ただそこに顔をあらわす自 治体側の責任者というのが、TVの画面でも伝わるような官僚的人物。彼が住民側の説明会で言う「この計画ははじめから決まっているのですよ。今さら移住で きないといわれても、期日が過ぎれば皆さんのお店はショベルドーザーでぺしゃんこにされてしまうんですよ。その時でもみなさんはお店に立てこもるつもりで すか?」

結果、店を破壊される直前までそこに居座った場合は、自治体の警察が来て逮捕される。泣きながら訴える店主と妻、引きずられながら連行される人々....。公務執行妨害ではない。自治体法違反であり、場合によっては国家反逆罪である。

こ うして全国各地で起きている土地収用や住宅の強制立ち退きを看過できなくなった中国政府は、07年10月1日から新たな法律「物権法」を施行した。NHK の放送では、この法律を「社会主義のこの国において、画期的なもの」と紹介していた。この法律によって、将来、個人の財産がこれまで以上に厚く保護される ようになると期待されているとか言っているがどうだろう。官僚の態度や言葉づかいを見ていると、とても近い将来何かが改善されるようには思えない。

最近「食」の問題ばかりやたらとクローズアップされる中国だが、もうすぐオリンピックを迎えるこの国には、今だ近代的な意味での人権がない。経済的には急発展してはいるが、貧しい民衆にとって中国の夜明けはまだまだ遠いと思う。

(放送日 2007年9月9日(日) 午後9時〜9時49分 NHK総合テレビ)

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