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2008-02-17

なつかしい本「日本共産党への手紙」 松岡 英夫,有田 芳生(編)

元大阪府知事の黒田了一さんをはじめ、有識者から日本共産党へつきつけられた十五通の手紙。

左はみんな一緒だと思っているような右寄りの方々、党批判者はみんな一緒だと思っているような共産党員、彼らにもこの本はすすめたい。立場も意見も違うたくさんの人達が、自由とか友愛といったテーマをこんなに共有し、しかもそれぞれの言葉が違っていて何とカラフルなんだろう。

かつて日本共産党の路線や社会主義というイデオロギーに、深く疑問を抱いて悩んでいたころ、タイムリーに出たこの本の様々な論者の意見に影響を受けた。数年後の自分の離党につながったのだから、この本を禁書としたミヤケンの読みはとても当っていたと思う(笑)。

最初に買ったのを共産党員の知人に「いい本だから読め」と貸してやったら2度と返してくれなかった。彼も焚書としたかったのだろうか。後年また読み たくなってわざわざ買い直した。今では中古でしか手にはいらないようだが、いい本なのでまたどこかから、出してほしい。でもこの本の強い需要が生まれるに は、共産党が強くないといけないからムリかな。この本が出た時代、まだ共産党の鼻息はなんとか聞こえていた。

編者の一人である有田氏は、統一教会及びオウム問題の評論で名が売れた。彼がカルトにこだわったのは、人がものごとを信じるときの心の仕組みに興味 を持っていたからだと思う。そのベースには除籍された日本共産党での体験が何らかの発想としてあるとにらんでいる。有田氏の名前 "よしふ" はスターリンの"ヨシフ"らしい。この名前を付けた父は日本共産党京都府委員会副委員長であった有田光雄氏だとか。昔このお父さんの「民主経営」論を読ん だことがあるが、まあなんて重い名前を我が子に付けたんでしょう。
有田氏には、ネットでいろいろ批判もあるが、いまやTVによく出るジャーナリストとなった彼、出る杭はなんとかであってしかたあるまい。(ここは本の論評なので、有田氏についてのいろんな意見はまた機会あれば考えてみたい。)

有 田氏は父親の影響もあり、大学時代から日本共産党の熱心な活動家であった。上田耕一郎に師事し、『文化評論』の編集者でもあった。市民運動に参加する中 で、党外の人脈を育てていったと考えられる。共編者の松岡氏は、元毎日新聞の論説委員。僕の記憶はあいまいだが、たしか83年の都知事線で悪名高い鈴木俊 一知事に対抗する革新統一候補であった。負けたとはいえまだ社共共闘がまがいなりにもあった。そもそも社会党が存在した。

そしてそこからこの本が出た90年前後は、ソ連東欧共産圏の崩壊、東西ドイツの壁がなくなった時代。この間は共産党には激動の時代であり、以後党に とって寒い時代が始まる。有田氏は、この本の著者たちの論文が全て(全てと言い切っていいだろう!)党を批判するものであったこと、執筆者に除名者がいた ことの責任を問われ党規律に違反したとされて1990年に除籍された。この辺の経緯は氏の古いほうのサイトに詳しい。

僕が高校生だった頃、「田口・不破論争」 というのがあった。田口氏の論点は、「共産党が真に民主的な社会主義をめざすなら、現在の民主集中制の在り方を見直す必要がある」というものだった。大学 生になった頃の僕は「前衛」などに載った論文を読んでなんとなく田口氏のほうが正しい気がしてたんだが、あまりおおっぴらには口にしなかった。なんせ「民 主集中制」に従っていたんで....(悲)。でもけっきょく、東欧の共産党政権崩壊後にヨーロッパでできた政権は、田口氏の言ってた形態に似ていたと思っ た。この本をはじめて読んだ時、加藤哲朗氏、藤井一行氏がこの問題に言及されており感銘した。

今の若い人は「民主集中制」といっても何のことかわかんないだろな。マルクス・レーニン読めって言ってもちょこっとしか売ってないしナ。

僕は共産党批判をするとしても、普通の人々が持つ「自由・平等・友愛」の感覚というものを堀下げることで批判をしたい。この方向は単に共産党批判にとどまらないことは言うまでもない。そういう論点にとってこの本はバイブルである。
社会主義の議論については長くなるのでやめておく。この本が手にはいるなら、加藤哲朗、藤井一行、田口富久治各氏の文章をよむべし。

ここでは最後に、かの「橋のない川」の作者、小林多喜二以外の「民主文学」はクソだと言い切るGoodな住井すゑさんの言葉でしめくくりたい(「ゑ」は「we」とかで変換ネ)。

共産党の理 論の『切れ味』がよすぎるというのも私はこわい。物事は鋭い刺身包丁でマグロを切るようにはいかないんです。私の知っている指導者は、鋭い包丁でピタッ、 ピタッと一匹のマグロを刺身にできる。刺身好きな人にとっては結構な料理人かもしれないけれど、マグロにしたらかわいそうです。
  人間として鋭すぎるための非情さが共産党にはある。大衆も何とはなしに感じるのではないでしょうか。近寄ると切られるような気がするから、近寄らない方がいい。そういう感情です。

指導者の手で「マグロの刺身」にされた皆さんが、泣いてうなずきそうである。

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コメント

なつかしい本を紹介してくれてありがとう。
75歳を越え、気力・体力のおとろえを感じますが、せっせと研究・執筆に専念する日々です。

わたしもこの本好きですね。こうした議論が自由にできるようであれば、党は変わる可能性あるのですけどね。党改革のバイブルだと思います。きびしいですけどね。もうこういった書籍の出版もありえないでしょうけどね。どんな組織でも保守化したら魅力ないですね。特に・・・の場合は最悪ですね。

社会主義の難しい話も大事だとは思うんですけど、僕はそれとは別に、この本にいくつか載ってる感覚的な明るい批判が好きなんです。黒田了一さん、記事に書いた住井すゑさん、それから国語学者の寿岳章子さんの「そろそろ『です・ます』にお別れを」がとてもいい。赤旗の文章表現のていねいさの奥に隠された押しつけがましさを、笑いながらグサッと刺すような鋭さが大好きです。

有田氏に関してすごく参考になった。若いころには所属党の改革を迫る情熱もあったんだ。しかし、最近の彼のブログを見ると、小沢氏への批判は全くないね。民主党に所属しているわけではないけれども、ゼネコン疑惑色・ゼネコン献金色の濃い小沢氏と党副代表として協力するのはいかがなものか。統一教会への突っ込みは鋭いが、ゼネコン疑惑色、小沢氏の追求は一切しないというのは、ジャーナリストとしてバランス感覚を著しく書いていると思う。そう彼のブログにコメントを投稿したが、やはりボツになっているみたい。コメント承認は管理人の権利だから、それをどうこういうわけではないけれども、ジャーナリストとしての平衡感覚は持っていただかないと、やっぱりヨシフ・スターリン家と揶揄されることになろう。

JGB様、東大新聞研の稲葉先生のインタビューも面白かったです。
有田さんに批判は色々有るみたいですが、何らかの勇気と才能は有ることを認めないと。
 統一教会さんにそのような勇気はありますか。

確かに日本共産党への手紙は勇気があるといえましょう。除名覚悟でやったのでしょうからね。でも、統一教会のことは言うけど、ゼネコン疑惑は全然突っ込まないのだから、仲間びいきだなって感じるところは、やっぱりいタただけない。私についての質問ですか、私はわからない、できないということがあればいつでも現場の責任者に質問や提案などしていますよ。

上のやつ
統一教会員じゃねえの、まるわかり( ̄Д ̄;;

だいたいよー
有田みたく、これから議員になろーちゅう人が、何でもかでも突っ込むわきゃねーだろ。少なくともおまえより有田の方が頭いいっちゅうことだわな、このニセ勝共が!

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