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2008-03-23

破壊されるチベット文化

チベット文化の破壊「西部開発計画」

前の記事で紹介した ちべログ@うらるんた を以前どこかで見た覚えがあったので、いろいろ過去記事を読んでみた。そういえば、中国政府がチベットを漢民族に同化させようと進める「西部開発計画」に関心をもったおり、この記事を読んだ覚えがある。

ご存知のように、ゴルムドからラサまでの路線で現在建設中の青蔵鉄路は(完成すればチベットの中央部に至る最初の路線ということになります)、チベット支 援者らとチベット亡命政府からの猛反対にあっています。ゴルムド・ラサ間に路線を敷くことを中国政府が発表した時、(雲南省の)昆明・大理・麗江を経てラ サに至るルートは代案のものでした。このように、大理・麗江間の路線はチベットそのものではありませんが、根本的にチベット人に壊滅的な影響を与え得ると ころのチベットに至る鉄道路線ネットワーク計画の一環となるものです。昆明・大理・麗江・ラサ間の路線は現在ある段階まで建設中のようです(昆明から大理 までは既に完成し、次の段階である大理から麗江へに至る鉄道建設に入っています。これらの路線はチベット高原の麓に位置し、おそらくそこからラサまで伸び ることになるでしょう)。

当 時建設計画が出たチベット中央部への鉄道幹線のことを伝える記事だったが、現在までこの鉄道を使って漢人が大量にチベットに移住。主として自分達が潤うた めの産業を興し、結果チベット人と移住してきた漢人の間に深刻な経済格差を生み出している。今回の蜂起は、こうした中国がとってきたチベット政策の裏の顔 と、チベット民衆のうけた苦痛の歴史を理解しようとしないとわからないと思う。そこらへんをふまえておかないと、「単なる暴力事件として処理するべきで あった」というような表層的な受け取りかたが生まれるのではないだろうか。

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若い頃、中沢新一の著書などを通じてチベット文化に興味を持った時期があった。とくに(今は行われなくなったらしいが)奇習とされた“鳥葬”と、そういう 文化を持っていた未開の地域チベットの人たちの日常生活を取材した探険記録には、他では得られない精神文化の深さを感じた。

鳥葬の国—秘境ヒマラヤ探検記 川喜田 二郎(著) (講談社学術文庫)

中国政府が進めた「西部開発計画」は、単に経済的な面でチベット人に中国共産党の進める産業近代化を押しつけたというだけでなく、文化面でもチベットの深刻な破壊を進めた。

先に紹介した「中国へようこそ!」のサイトには、チベット文化に対する中国政府の政策を美化する次のような記事もある。

先の「チベットにおける人権保障の歴史的進展」とこの論文を読んだ上で、次のダライ・ラマ法王日本代表部事務所 が発信している文章を対置してみれば、中国の言い分がきわめて美化された勝手なものであることに気ずく。要するに言ってることとやってることが大きく違うのだ。

この文章は、先の「チベットのマスメディア」と称する論文に見られるような、統計記録をひけらかして中国の政策を善であるかのように見せかける手法を直接批判している。

チベットの宗教と文化を破壊したことを取り繕うために、立派な統計をひけらかし、刊行しても意味はない。

この50年間で、中国は6千以上のチベットの寺院、僧院、尼僧院を破壊し、極めて貴重な彫像と宗教的な美術品を略奪・売却した。また、中国がチベットを占領した直接の結果として、120万人以上のチベット人が非業の死を遂げた。

さらに最近では、チベットの天然資源を搾取し、チベットへの中国人移民を増加させるために、「中国西部開発計画」が考案された。これはチベットのかけがえのない文化と民族性を絶滅させるための、より大きな新しい脅威となっている。

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チベット語が消えていく!

例えば次の内容などきわめて悲しい。中国政府のやっていることは、過去と現在だけでなく、未来をも自分達の思いどおりの色に染めてしまおうということなのだ。

「実際、現在のチベットではチベット語は一切価値がない。例えば、チベット語で宛先を書いて手紙を出しても、チベット以外の国では無論のことだが、チベッ ト内においても相手に届くことはないだろう。旅をすれば、いかにチベット語に秀でていても、バスの時間を知ったり、チケットの座席番号を読むことはできな いだろう。県の中心部または市内で病院や店を探さなければならない場合でも、チベット語ができても何の役にも立たないのだ。チベット語しかできない者は、 日用品を買うのも一苦労すると知ることになる。母国で母国語が役に立たないとしたら、いったい他のどこで役に立つ?こんな状態が長く続けば、チベット語は そのうち消滅してしまうだろう」

「チベット語とチベット文化を学べる学校はチベットにはほとんどない。さらに、親たちは子どもを学校に送らなくなってしまった。それというのも、小学校で はチベット語よりもむしろ中国語を教えているからだ。中国語を学んで中学校を卒業しても、チベットで就職できる見込みはない。牛の番か野良仕事で終わるだ けだ。もちろん、チベット語を学ぶ機会はわずかながらにある。だが親は、チベット語が日常生活で用を足さないことを知っている。だから、子どもを学校にや る理由はないというわけだ」

チベットほど露骨に他民族に侵略されているわけではない我々には想像しがたい事態が進められてきたようだ。この文の「チベット」を「日本」と読みかえて音読してみれば、その悲しさを少しでも身に引きつけられるかと思う。

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 文化は政治に奉仕せよ?

ここにも文化は政治に奉仕せよという、社会主義統制国家の思考が出てくる。

「芸術は社会主義的目的のために奉仕しなければならない」延安で開催された「第1回芸術と文化に関する会議」で毛沢東は言った。この状態は共産主義支配者の指針的原則として存続している。

文化大革命は間違っていたとしたはずの現在の中国でも、こんな考えかたが存続しているのだ。中国はいったい何が変わったのだろう。漢人にとって、チベットや他の少数民族の文化は後進的であり、劣ったものだという考えかたが底辺にある。よってそれらは改革されなければならない対象でしかない。

結果チベット人は自分達の文化を少しでも守ろうとして、次のようなことが行われている。

チベット人の多くは、子供たちをチベット亡命コミュニティの教育施設に入学させるために、インドへやらなければならないが、それにはそれなりの理由があ る。ダラムサラに本拠地を置くチベット人権・民主センターの報告書によると、1984年以来6千人から8千人のチベット人の子供たちと青少年がインドとネ パールで教育の機会を求めて、チベットから逃れてきた。

この事実は、すでに「ヒマラヤを越える子供たち Escape over the Himalayasとして記録映像になっている。

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 チベットのマスメディアの実際は?

今日のニュースでは、政府の政策に疑問を持つ中国人作家たちが、チベット問題に抗議の意志表示をしたらしい。チベット文化の破壊と自分達の自由への抑圧が、一つにつながっているという正しい意識の表明である。

すでにチベットでは、マスメディアや作家も全て中国の思いどうりにされてきた。

過去、全体主義国家の常であったように、中国政府はチベットのマスメディアを専有化し、共産党のプロパガンダの道具として利用している。その唯一の目的 は、チベット人を洗脳して、中国支配に完全に従属させることだ。実際の話、ポスターを貼ったり、反対意見のスローガンを叫ぶだけで刑務所に送ったり、拷問したりする政府に出版の自由を期待するのはどだい無理という ものであろう。

さらに、プロパガンダ効果を確実にするため、中国は徹底的かつ組織的な努力をして、外界から流れてくる全く別のニュースや観点に対して壁を築いている。チ ベットでは、ダライ・ラマ法王の発言があるオーディオ映像と印刷物は禁止され、そのようなものを所有していたチベット人の多くが長期に亘る懲役刑を受け た。中国政府はまた、ノルウエー発の「ボイス・オブ・チベット」、アメリカ合衆国発の「ボイス・オブ・アメリカ」と「ラジオ・フリー・アジア」のチベット 語によるラジオ放送を妨害するために、多額の費用を投じている。

「6600もの書籍」を発行したとする主張についてだが、共産党の公的路線から逸脱した本は一冊も出ていないというのが周知の事実である。国家のプロパガ ンダにあえて意義を唱えようものなら、その作家は失職し、「反革命的」プロパガンダを支持したとして刑務所行きになるだろう。チベットから出ている刊行物 のほとんどが、チベットの歴史と文化に対するチベット人の見解を嘲り、一部はあからさまにチベットの歴史、文化、伝統的な智慧を馬鹿にしている。ニュース メディア同様、チベットの出版事業はチベット文化発展に貢献しない。チベット人を無知なままにして、共産主義支配者の服従下に押さえ続けているだけであ る。

引用しているだけでなんか悲しくなってきた。以前オーウェルの「1984年」に出てくる統制国家の現実例として北朝鮮をあげたが、まだまだ自分の見識があまかったことを認めたい。中国が北朝鮮を支援するわけである。今もここにあるではないか! 少数独裁制 集産主義国家が!

「中華人民共和国」こそが本物の「イングソック」かもしれない!!

 

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