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2008-03-04

長編ドキュメンタリー「米国“闇”へ」

昨晩、「米国“闇”へ」というドキュメンタリの再放送をNHKでやっていた。僕ははじめて見たんだが、非常にショッキングな内容だった。

第80回アカデミー賞 長編ドキュメンタリー賞受賞作品テレビ版

                   「米国“闇”へ」

原題は、"Taxi to the Dark Side"

Taxitothedark4 9.11以降テロとの戦いを前面に掲げたアメリカ軍。アフガニスタンで、ただいつものように客を乗せて仕事をしていただけなのに、後部座席に小さな電気部品が入っていたというだけの理由でテロリストと疑われ捕えられ、死亡したタクシー運転手。その話を軸に、アメリカがテロとの戦いの中で、捕虜への拷問を正当化していくおそろしい様が描かれた。

死んだタクシー運転手の家族には、英語の死亡診断書が見せられ承認を求められた。家族はしかたなく認めたが、英語の読めない彼らにはもちろん内容などわかるはずもない。しかし、その診断書の検死官の報告には、明確に「他殺」と記してあったそうだ。

アフガニスタンやキューバのグアンタナモで“拷問”に関わった軍関係者、調査官、被害者への取材、またアメリカの政策決定者への取材を重ねて、拷問現場の証拠写真で 構成したドキュメンタリ。

Taxitothedark3

米軍がアフガニスタンに侵攻し、やがてイラクとの戦争が始まったあの当時、捕虜に暴行を加える米兵たちの、にこやかなスナップ写真がネットに流出したのを 覚えている。裸にされ、ピラミッド型に積み重ねられた捕虜たち。捕まえられた野犬のように首を縄でしばられた捕虜たち。虐待する兵士の側には、驚いたこと に女性兵士も居た。このドキュメンタリでもやはり、虐待に加わった女性の下士官が出てくる。

Taxitothedark2拷問の手法がリアルに説明される。「ヘビメタなどの大音量の音楽を長時間聞かせて神経をマヒさせる」「軍用犬に間近で吠え続けさせる」「一日4時間 しか睡眠させず、後の20時間拷問を続ける」「両うでをロープで吊るし天井からぶらさげる」「そのうえで顔面、足などを蹴りつける」などなどだんだんエス カレート。最後には「水攻め」など中世の魔女狩りで使われたのと同じ手法が繰り出される。

Taxitothedark 左は拷問をする際に捕虜を入れておいた檻である。猛獣を捕獲する時のような鉄篭のまわりは、逃げようがないように鉄条網が巻いてある。

当時、捕虜への拷問は秘密のショーだったらしい。ラムズフェルドもそのショーを見るために前線を訪れている。

チェイニーが実際に次のような意味のことを言っているのに驚いた。
「テロとの戦いにおいては、普通の力だけでなく、ある種の闇の力も必要である。それが必要な状況では、ジュネーブ条約は考えなくてよい。」

Taxitothedark5 やがて、ある日捕まえられた一人のアフガン人が特別なあつかいを受ける。彼はすさまじい拷問を受け、最後に「イラクはアルカイダに生物化学兵器を供与して いる」と証言させられる。これが後にイラク侵攻の口実に使われたらしいが、関わったCIA自身がでっちあげであったと認めている。拷問された者は、拷問す る側の求める答えを口にしがちだ。何と言っても早く終わらせたいのだから。拷問で真実などけっして得られない。

自由と民主主義を標榜するアメリカ。テロ撲滅の名のもとで、やすやすと“捕虜への拷問”が容認されたのはなぜだろうか?

驚いたことに、拷問の内容がマスコミによって報道された後の調査でも、アメリカ国民の35%がこれを支持 するという結果がでたらしい。でもこれを聞いて、アメリカ人っておかしいの? で話終わりだろうか。

映像の中には、虐待した兵士のメンバーとして、とても気のやさしかった黒人青年が出てくる。彼を知るまわりの者も、なぜ彼がそんな蛮行に加わったのか不思議でならないと語る。でも彼本人は言う。「吊るした捕虜の足を蹴りあげるのに疲れてきたから、交替しただけさ」

もし日本でテロが起きて、自分の肉親や友人を含めた大量の死傷者がでたら、そしてまわりが「制裁を実行せよ!」という一色に染まっていったら、はたしてそこに疑念をはさむ勇気を僕達は持てるだろうか?

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