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2008-03-23

チベット問題を積極的には報道しないある新聞

中国政府はあいかわらずチベット「暴動」に関して、警官隊の負傷者のことやら、自首、逮捕者のことばかり。

それにここにきてこんなニュース。こちらもやっぱりですか。

組織というのは、いったん利害関係をもってしまうと相手のことが批判できないようだ。こんな重大な人権侵害が起きている時に、それに対してモノが言 えなくなるぐらいなら、普段から何の関係も結ばないというのが正解。ここんとこの政府、政党関係、民主諸団体のチベット問題についての奥歯にもののはさ まったような物言いや、あるいはもの言わずにはほんとに幻滅してしまう。これじゃ得意先だからあんまり悪いこと言えませんと言ってる取引先のセールスマ ン。

しかしそのセールスマン諸兄よ! ことは罪のない民衆への虐殺、貴重な文化への圧殺ですぞ! そんなことでまわりの支持者の理解が得られるか考えてるのだろうか?

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チベット民衆の蜂起について、ニュースが始まったのが3月14日あたりからかな?15日〜17日頃を振り返ると、産経あたりの一般新聞が朝刊の1面ど真 中に、大きく写真を載せて、中国国旗を燃やすチベット民衆だとか、ラサ近辺に集結した装甲車など、戒厳下にあるチベットの様子をまがいなりにも民衆の目か ら伝えようとしてきた。これまでのチベットが被ってきた迫害の歴史的経過まで解説する紙面はさすがに少なかったが、昨日読売系TVの News ZERO で「独占目撃チベットへ」と銘打った特集を報じた。内容は去年取材したチベットの寺院で生活する僧侶たちのことを扱ったもので、今起きている状態を期待し た向きには肩透かしだったが、そのなかではYouTubeでも流れている「1988年3月チベットで行なわれたこと」の映像を使うなど、今までの弾圧を 多少なりとも報道しようとする姿勢が見られた。

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しかし同じ15日〜17日頃の赤旗の記事はどうだったろうか? 3日間通しての感想は、

  • まず写真がない。(18日以降使ったが実状を伝えると言うにはかなり気のぬけたもの)
  • 扱いが1面ではなく国際面の小さな記事。
  • 内容が3分の2以上中国側のメディアが報じる内容を垂れ流しているだけ。チベット人みんなが独立を要求しているわけではないととれるような奇妙な書きかたが非常に気になる。
  • 歴史に触れれば、中国の傀儡である現(ニセ)パンチョンラマ十一世の存在を静観してでもいるかのような、中国側に気を使った書きかた。しかも深いつっこみいっさいなし。
  • 18日のネット上の赤旗記事ですらこの空気である(http://www.jcp.or.jp/akahata/aik07/2008-03-18/2008031807_03_0.html)

16日の7面「チベット問題とは」という解説記事はひどいものだった。世界の大半はチベットが中国の一部であると認めているとか、独立を求めていないとのダライ・ラマの発言(それは事実だが)を一面的に伝え、中国政府のチベット政策を既成事実として追認する記事。どう読んでも中国擁護にしか読めない。

同じ日の「ラサ騒乱10人死亡(新華社報道)」という記事。10人は中国政府が出した数字だ。そして、その記事の右には、アメリカ軍などの撤退を求める「イラク侵略戦争5年」。「市民の殺害日常化」とある。左には、「ソンミ虐殺きょう40年」とベトナム戦争を振り返る記事。「米軍部隊が女性、子ども、老人ら無抵抗の民間人を虐殺したソンミ事件」とある。両方とも今まさにチベットで起きていることではないか! しかも左右の記事は写真つきでリアル感が出され、チベット問題は写真がない。

左右には民衆側を擁護するバイアスが力いっぱいかかった記事をのせておいて、なぜど真中に、今まさに虐殺を行っている中国政府の欺瞞的な言い訳がそのまま載っているんだ!!!!

これでは、アメリカのする虐殺はダメで、社会主義国の行う虐殺は許すという考えにとられてもしかたがないだろう。

普段はなんかこの記事おかしいなーと思っても、ばかげてると思うだけでさほどの感慨もなかった。しかし今回だけは正直久しぶりに...

この政党新聞に対して、かなり強い不快感を覚えた!!

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このへんの問題を一般の党員はどう思ってるんだろう、と思ってたらこんな記事。

このブログの中で言うには、

① 単なる暴力事件として処理するべきであった。
② 宗教指導者を矢面に立ててしまい、あらぬ対決を引き起こした。

    と言う意味で二重の誤りであった

のだそうだ。

一見赤旗より踏み込んだこと書いてるようだが、「単なる暴力事件として処理するべきであった」はかなりひどくネ?

これじゃまるで、中国人民武装警察部隊(PAP)と同じ立場でモノ言ってるようにとられないだろうか? 「そんな立場で言うわけないだろ!」って? そりゃ分かってるヨ。でも「単なる」とか「処理」とか、党員でない一般の人からどう思われるのか考えてないのだろうか?

さらにそこのコメントを読んでいると、こんなことを言う共産党員もおられるようだ。

日本共産党は「内政干渉をしない」という方針だから、チベットでの暴動についても、特に中国政府への抗議はしないんじゃないかと思います。そりゃあ、中国政府に抗議したい人の気持ちも分からないわけではありませんが。 イラク戦争の場合だったら、アメリカ軍が中心になってイラクの国土へ乗り込んで軍事力で制圧したわけだから、それ自体がアメリカによるイラクへの内政干渉という事になるし、日本共産党もアメリカ軍への抗議を表明したんじゃないかと思います。

聞くけどさー。じゃあチベットは日本の四国や九州みたいにもともと中国の一地方なんでしょうか?

赤旗拡大に行ってチベット問題を聞かれたとき、一般党員も党外の人にこういう説明するんだろうか。仮に日本が中国に占領されて、その圧制に日本人が起ち上がったとする。近隣の国が内政干渉だからということで、援助してくれないどころか、口で批判することすらしないとしたら、その態度の冷たい近隣の国に何と感じるだろうか。「内政干渉」かどうかという言葉は、歴史的経緯をふまえて使わないと、簡単に侵略者擁護の論理に転化する。結局アメリカのする虐殺はダメで、社会主義国の行う虐殺は許すという考えに受け取られる。つまりこういう党員は、やはり赤旗の記事をうのみにしていることがまる見えなのである。

何も憲法9条無視して自衛隊を派遣しろと言ってるんじゃないんだ。

言葉や新聞やネット上で中国の蛮行を非難するぐらいのことができないのか!

と言いたいだけなんだが。ひょっとしてそれもできねーの?

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もともとは内政の問題じゃないってことぐらい、中国のおかたがちゃんと説明してくれてる。これによれば、遅れていたチベットを進歩させるために侵略してやったんだと書いてある。

要するに昔のチベットは、ダライに支配されてた遅れた封建的宗教国家であって、前近代的な封建地主のもとで農奴制により人々は苦しい生活を余儀なくされていた。中国共産党はそこに侵攻し、農奴制を廃止し人々を救ってやったのだ...、と言うのである。

チベットの民主改革後四十年来の大きな歴史的な変化は、封建的農奴制度の廃止、民族区域自治の実行がチベットの社 会の発展と進歩の根本的な原因であり、チベットの人権状況に天地を覆すほどの変化が起きた根本的な原因でもあることを物語っている。自然、歴史および経済 発展水準の制約を受けて、チベットの人権状況には改善を待たれる方面が多く存在しているにもかかわらず、あくまで中国の特色を持つ社会主義を建設する道を 歩み、民族区域自治制度を実行しさえすれば、チベットの人権状況は必ず社会と経済の発展につれて改善されるはずである。

最近、戦中戦後中国共産党がどのようにして成り立って来たのかについて書かれた本を読んでいる。それによれば、中国共産党というのは、まだ社会主義革命の機が熟す前に、群雄割拠、内乱状態の農業国家であった時代の中国に、むりやり社会主義の理論をあてはめて作った国であるようだ。だから内実は古来の封建主義的風潮を残した軍閥国家として出発したということらしい。

もとより独自の高度な文化を持ち、平和に暮らしていたチベット人。彼らは中国による近代化など望んでもいなかった。そこに農奴解放というブルジョア民主主義革命以前の前段階的革命理論を当てはめて、殺戮と略奪、「民族浄化」という名の純血性の侵蝕を繰り返し、それをチベット民衆にとっても近代化だ画期的進歩だと豪語している、これはいわば「盗賊の論理」であると言ったらいいすぎだろうか?
少なくともこの「チベットにおける人権保障の歴史的進展」に書かれていることは、本来のマルクス主義ではないと思う。民族自決権を非常に重視したレーニンなどが考えていた、本来の社会主義への冒涜でもある。

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今年はきっと選挙があるだろう。日本の普通の庶民感覚と、そしてインターネットの普及を甘くみないほうがいいのではないかと思う。第ニ次チェチェン戦争(1999年)の頃と比べても、情報の行き交いかたが格段に変わってきている。次のエントリでチベット関連のNGOの方のブログを紹介したが、現地のリアルな状況が語られていることに注目した。別に「野党外交」だとか赤旗の紙面にたよらなくても、「今なにが起きているのか、外国にいる者は誰もしらない」ということもないのである。

「この新聞でなければ真実は分からない」といまだに言っているこの新聞。

もはや赤旗よりも、一般の人達のほうが真実を早く知ってしまう時代がやってきている。(ここ重要。テストに出るかも)

このことは公党にとって、無視することのできない状況ではないだろうか。

別にチベット問題が日本の選挙の争点になんかならないに決まっているが、ここしばらくの赤旗の対応は、おそらく共産党の印象としてけっこう人々の脳裏に残ってしまったと思う。これだけ一般のマスメディアとさえ違う態度が見えてしまって、後から写真を載せたり、NGOやチベット側の発言を載せたりしても手遅れといってもよいだろう。特にネット界での批判は相当あるようで、後手ごての対応は、本心からでは無いとって付けたものととられがちである。

赤旗が、そして日本共産党が、チベット問題にもしこのままの姿勢を続けるならば、先に見たような中国共産党の「盗賊の論理」と同じ平面上に立つ者と見られはしないかと、僕なりに心配しているのだが、どうもかみあった応答が聞こえてきそうにはないようだ。





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コメント

「チベットにおける人権保障の歴史的進展」という文章は、中国の紹介と観光ガイドなどを書いているサイトの一部で、どう見てもあちらの方が運営されているのだろう。
「中国へようこそ!」=> http://osaka.cool.ne.jp/jiangbo/china/

この文章について、先日ネットをうろうろしていたら、すでにTAMO2さんが批判しておられた。
「同じ穴の狢」幻論
http://red.ap.teacup.com/tamo2/699.html
さすがである。

133 名無しさん@お腹いっぱい。 2008/03/25(火) 11:01:36 ID:Gm6APqYY
電話で聞いてみました。

・創価学会本部
チベットでの虐殺については、コメントしない。コメントしない理由もコメントしない。
世界でいろいろな事象が起きているが、創価学会はその全てに言及しなければ
ならないのか?チベット虐殺より坊主の芸者遊びを優先する取捨選択の権利は、
創価学会にある。外部であるあなたが言うことではない。

いじめを見て見ぬふりをする人間は、いじめをしている人間と同じではないのか?
と聞くと、それは、学校の話だ。次元が違う。とのこと。
悪には徹底的に戦うのではないのか?と聞くと、悪とは何か?チベット人を虐殺する
のを悪と言うのはあなたの基準だ。創価学会の基準は別にある。

生命の尊厳など、外部のあなたに言われる筋合いではない。
全てを含めて、創価学会は何もコメントしない。その理由もコメントしない。

そんなことを質問するあなたはおかしい人だ。

・公明党本部
チベットでの虐殺を静観している。様子を見ている。
・聖教新聞社
朝日や他のメディアが何もしていないのに、どうして聖教新聞が記事を書かなければならないのか?何もしない。
あなたのような変な人から毎日電話がかかってきて迷惑だ。とにかく聖教新聞は何もしない

名無しさんこんばんわ。
こちらにはJCPにお電話された方がいるようですよw。

25 o'clock:「チベット問題で沈黙する日本共産党に電話してみました。」
http://25oclock.blog.shinobi.jp/Entry/209/

しっかし、創価学会のも凄い発言がちりばめられてますなー。

>「チベット人を虐殺するのを悪と言うのはあなたの基準だ。創価学会の基準は別にある。」....ですか。

そこまで言われると、逆にどんな「基準」かぜひ聞いてみたいですネ。
政府が逃げ腰なのに、自称「民主勢力」の方や、仏教徒(?)の方々がこれだけスルーしてて、いったいどの組織がモノ言ってくれるんでしょうネ。

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