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2008-04-10

いいことばかりじゃない〜地上デジタル放送への完全移行

2011年から始まるテレビのデジタル放送、世間ではいいことばかりが吹聴されているような。
チャンネルが増えて選ぶ側の自由が増すとか、ネットとの連携がやりやすくなり便利だとか、画質が良くなるとか....。ただ個人的には、ほんとにこれでいいのかと思う一面もある。

私は2年前から職場で個人情報保護委員をやっている。城山三郎さんを尊敬していた私がこんな役割を任せられるとは...。正直嫌々引き受けたのだ が、やってみて一番痛烈に感じたのは、新しい法律や制度の背景に関係団体・企業・役所の利益源開拓が意図されているということ。個人情報保護法実施の背後 で、いったいどれだけのコンサルが出来、許認可に関わる外部委託団体がどれだけ作られ、関係省庁にどれだけの金が流れていることだろう。

そういえば2006年にはこういうニュースもあった。

これなども、おおっぴらには語られないにしろ、利益源開拓の典型ではないか。PSEマークという許認可制度を新たに作る理由の背後には、新たな金儲けを企む人々の存在を感じたのは私だけだろうか。

許認可を管轄する側の金儲けの下で、今までそんな制度が無かった頃には新鮮な空気が吸えた人達が、急に暮らしにくくなる現実があるように思う。一つ ひとつの制度の名目は、時代の要請からとかいかにも必要であるかのように見せかけている。個人情報保護法はその典型だろう。しかし管理する側のやることは いつも大きくアミをはることだけで、その中で動きずらくなっていく人達のことなどおかまいなしである。利益アップが頭打ちとなった管理側にとって、新規の 利益源が確保できればそれでよく、そのための法規やうんちくはヒチめんどくさいほうがやりやすい。PSE法の中古楽器の例のように、その世界に関わる人達 だからこそ感じるモノの価値といった、効率的管理の視点からはけっして分からない「質感」の世界が、ばっさり無視されていく。ましてや、世の中の底辺で喘 ぐ人々の生活など、官僚の視野には無いも同然なのだろう。

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これから始まるデジタル放送の問題も、共通したことを感じるのである。なぜならユーザー側の選択肢の自由が保証されていないからだ。これは、液晶テ レビがだんだん安くなってきたし、時期が来たら買い替えようかなーといったことの言える平均的収入世帯から上の視線で見ている限り、けっして見えてこない ことだろう。

少し前まで私も「そろそろ買い替えようかなー」という程度の視点でしか考えていなかった。しかし、おれはアナログでいいよと言う方は絶対居るはずなのだ。現に私自身、別段不便を感じていない。しかし現実にはだんだん見れなくなる。

深刻な格差がひろがっていく今の日本では、デジタルチューナーも買えないという貧乏人がきっといるはずだ。総務省のサイトにあるQ&Aには、「おれはアナログでかまわねーけど、どーしてくれる~」という項目はない。

これは、ある意味強引な画一化ではないのか。

別にデジタル化に反対しているわけじゃない。我々のよく知らないうちに運ばれていくこの流れが、少し不気味なのだ。我々はいつもこういうことに知らないうちに馴らされて行くけれど、冷めた目で外側から見るとき、これはやはり強引な画一化に思えてくる。

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電磁波問題市民研究会という団体がどういうところなのかよく知らないのだが、デジタル化についてのシンポジウムを開いており、抜粋記録を公開している。一つの意見としては参考になる。これを読むと、デジタル放送化は総務省サイドのかなり強力な思惑で進められていることが感じられる。他の省庁からは、疑問の声も起きているようだ。またローカル局の財政状況にとっても、かなり痛い制度改革となっているようだ。一部引用してみる。

□地上デジタル放送化は国策でなく総務省策か?
まず、地上デジタル放送化の位置付けを見る。IT戦略自体は国策とされているが、テレビ放送の地上デジタル化自体はあいまいで、テレビ局側も視聴者もそ れほど望んでいない。それにもかかわらず、旗ふり役の総務省(旧郵政省)のみが積極的で、誰のためのデジタル化なのか見えてこない。発言者からは「国策で はなく総務省のみの省策でしかない」と厳しい批判が出ていた。なぜこうもテレビ関係者が冷めているのかというと、これから紹介するように、利点よりも欠点 が多いからである。


□他の省庁からも批判の声
地上デジタル放送化が総務省の省益だというのは、他の省庁による、以下の指摘からも示されている。たとえば、経済産業省や環境省は、アナログ型からデジ タル型に買い替えた場合に大量のテレビゴミが出ることを心配している。また、文部科学省は、学校のテレビをすべてデジタルに替えねばならないとなれば、予 算の問題が出てくると述べている。さらに、厚生労働省は、貧困家庭がデジタルテレビが購入できない場合、新たな格差問題が生まれると心配している。このよ うに、政府内でもギクシャクしているにもかかわらず、他省庁の思惑への配慮がなく、総務省だけで勝手に地上デジタル放送化を推進しているのが実状だ。


□ローカル局つぶしと総務省指導再編化
テレビ中継局は、全国で1万5千局もある。また、テレビ局は全国で88局もある。この現状のもとでは、デジタル化を進めるとローカル局は経費的にもたな い。地上デジタル放送化を進めているのは総務省だけで、ローカル局は概ね反対しているのもそうした事情だ。特にこわいのは、最近、総務省が命令放送を義務 付け、放送事業者の独立性に制限を加えようとする動きがあることだ。地上デジタル放送化を機会に、ローカル放送局を淘汰しテレビ局が再編されれば、国の放 送へのコントロール力が強まるおそれがある。新聞界と同じで、ローカル局に骨のある局が残っているのに、そのローカル局の淘汰再編は、必然的に放送事業者 の自立性の喪失につながる。米国は放送関係の寡占化がすすみ、3大ネットワーク、つまり3局しかない状況で、どのような事態が起こっているかをしっかりと 見るべきだ。

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この中で、貧困によりデジタルテレビが購入できないことからくる新たな格差問題の発生を指摘する、厚生労働省の(おそらく一部の)意見が目をひいた。

おそらくこのデジタル化問題で一番辛い立場にあるのは、きっとお年寄りの方達ではないのかと思っている。お年寄りの多くは、アナログかデジタルかなど間違いなく 無関心だろう。しかし大多数の年寄りにとって、家でゆっくりテレビを見れることは最大の楽しみであるはず。そういう意味で老人層は、最大のテレビ人口かも しれない。

にもかかわらずである。特にここしばらく話題になっている「後期高齢者医療制度」!

年金問題ではあれだけダラダラした対応をしながら、この医療制度改悪の場合は有無を言わせず年寄りから保険料を天引きすると言う。ウェーバーの言う官僚社会の真骨頂ではないか。

月10数万、あるいは10万以下というような年金で生活している年寄りもいる。以前貧困問題を取り上げたNHKの特集でやっていたが、そんななけな しの年金からガンで闘病中の妻や夫の治療費を払い、自身は缶詰めと白飯だけの1日2食で暮らしていたりする。そんな生活の方に、ある時期から突然「チュー ナーか新型テレビ買って下さいよ、買わないと見れなくなりますよ」と時代の波が囁くのである。小さな居間に置かれたささやかな楽しみだった古いテレビが、 ただの箱と化す。ほんとに国民のための政治など、どこにあるのだろうか。

しかしこんな矛盾があっても、「けっして悪いようにはしませんから」的な、ある種の慇懃無礼な政府の態度のもとで、私達は知らないうちに新制度に馴 らされていくのだろう。「与えられること、保証されること」が、「管理されること」=「飼い慣らされること」につながる、そんな社会に私達は住んでいる。 私達の側から「与えられるもの」や「保証の質」を選んでいく権利は、事前につみとられている。

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ところでこのデジタル放送問題について、日本共産党は赤旗で良い記事を書いている。たまにはほめてあげねばと、今回は思ったので話題にしよう。

高齢者や生活困窮者のテレビの買い替えなどに、自治体独自の助成制度を設けるよう働きかけるなどの、党の議員活動などを紹介している。「後期高齢者 医療制度」には、共産党はもちろん反対している。お年寄りの医療と生活を直撃するこの大問題とからめて、デジタル放送問題をとりあげたのは共産党らしくて 好感が持てた。

おそらく実際に制度が始まると、時代の流れに乗れない貧困家庭の問題などがクローズアップされてはくるだろう。ただ今の段階で、デジタル放送などのテクニカルな問題を貧困問題と重ね合わせる視点が、一般のマスコミにまだ少ないように思うがどうだろうか。

(追記) 今日はめずらしく赤旗の記事を私が褒めたので、外は雨であったw......。

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コメント

だから、地元で金本選手2000本安打達成がならなかったのですねweep

地デジ化に際して、チューナーの存在をあまり公にしていないのが気になります。
たまにはパタパタも読まなくっちゃ。

雨降らせて、どーもすいませーん。
でもでもでも、ほらね、やっとこさ、キタ━(゚∀゚)━ !!

金本が通算2000安打達成 史上37人目!!!smile

弟分も1000安打! 僕の職場ではWで同時達成なら「誰が花束やるんや?」と変な心配で話の花が咲いてましたが...。

今年はいけるでーーー!!
やっぱりテレビもでかい液晶に買い替えて野球みなあかんなー! あれ?(笑)

つーか、無理ですよ。2011年完全移行なんて。
たぶんアナログを切れない。それで地方局が経営危機。政治家がそこで頑張って税金投入とw

個人的には、地方局が潰れてもいっこうに気になりません。もともとたいしたコンテンツ作っていない、ただのデンパ利権屋だから全部キー局に買収されてもいいと思います。たぶんそれで社員の給料もキー局なみに上がって吸収される方がウハウハ。人件費抑制のため給料が下がるのはキー局だったりしてw

>たぶんアナログを切れない
なるほど、その可能性はかなり大きいかも。僕も上記シンポのように「ローカル局に骨のある局が残っている」とは、ちーとも思いません。

ところで何か新機能が付きましたネ。やつらもアンケートしてもらえるうちは幸せかな。ついでに「人気の共産党員ブログランキング」ってのはどうでしょう? ちょっとマニアックかな?
もちろん第一位は......w

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