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2008-04-22

「光市母子殺害事件」広島高裁差戻し審判決

今日4月22日は「光市母子殺害事件」 広島高裁差し戻し審の判決が出た日として、きっと歴史に残る。もしこの裁判でこの後におよんで不当判決が出た場合、多くの人々の心に、ずっと消えないわだかまりが残るのではないかと気になっていたが....。

職場の昼休み、いつになくたくさんの社員が食堂に集り、TVに食い入るように見ていた。

光母子殺害、当時18歳の被告に死刑…差し戻し控訴審 (2008年4月22日 読売新聞)

死刑判決が明らかになった瞬間、どこか重い空気の中でみんなに不思議な安堵感があった。職場には趣味的右翼青年から私のようなエセ左翼までいろんな 考えの人達が居るが、そんなみんなが一様にどこかしら「当然だろ」「真っ当な判決で安心したよ」という同じ気持ちになる、こんな雰囲気も近頃珍しい。

本村さんの姿勢にまたもや感心

Hikarisi_hanketu 判決後の記者会見での本村さん(32)のしっかりした口調、またもや感心する。

これまでの記者会見で、一貫して極刑を求めてきた彼には、賛否両論があったかもしれない。安田弁護人らの論理ともいえない奇妙な弁護が、インター ネット上で世論の火に油を注いだ形になった。あまりに過激な世論の膨張からは、ただ自分のルサンチマンを癒すがための被告へのバッシングも目に付いた。そ れらは時に行き過ぎ、不快感すらあった。けれど遺族はそんなバッシングは求めておらず、この事件から学ぶべきはもっと真摯な深いものであると諭してくれた のも、本村さんではなかったか。

Saiban_koukusyasin_3 今日の判決は、傍聴券を求めて3800人余の人たちが訪れた。右の航空写真が、 この事件がいかに社会的関心を集めたかを示している。

しかし私達は、このような大勢の傍聴人が詰めかける裁判では、肝心の被害者遺族が傍聴できないこともあるという現実が、以前まであったことを知らねばならない。それに疑問をとなえて、被害者遺族が優先して傍聴できるようにし、意見陳述もできるよう制度を変えさせたのは、他でもない本村さんなのだ。以前はそんなこともできない裁判制度だったのかと、何も知らない私達が逆に驚き学ばされてきたのだった。

一審の山口地裁では、判決の際、本村さんが持ち込んだ遺影の被いを外そうとすると、被告の人権を侵害するからとそれが禁止された。日本の裁判はどこかがおかしい! そう誰もが思ったはずだ。そんな状況を少しずつでも変えさせてきたのも本村さんなのだ。

Motomurasan_2 本村さんのこの9年間の闘いには本当に頭が下がる思いがする。悲しみに落ち込むに終わらせず、「全国犯罪被害者の会」の活動を立ち上げたりなど、自身と家族の受けた苦しみを何とか意味あるものにしていこうとする姿は、もはや哲学的な深さすら感じる。

判決は不当として記者会見した一方の安田弁護士。あいも変わらずこの事件の重みに言及せず、裁判と死刑制度の是非についての自論を披瀝しているにすぎないように聞こえる。
また夜のTVニュースに判決後の被告の父親の談話が流れたが、自分の息子や自分達家族の将来を心配するばかりで、まずは口にすべき被害者と遺族への謝罪が無かった。

一方本村さんは記者会見で「死刑制度について訴えることは、社会に命の重さを伝える機会になると信じている」と言った。死刑制度は間違った制度であ るかもしれないと本村さん自身も言う。しかし、死刑を宣告される者も宣告する側も、人を殺めるという最大の過ちを繰り返してはならないということを考え続 けるために、たしかに過ちかもしれない死刑制度が存在するのかもしれないという意味のことを言っていた。
死刑判決は遺族にとっては応報感情が満たされたにしろ、社会にとっては妻と子どもと被告の3つの命が奪われたことになる。どうしたら、このような死刑制度を執行しないですむような社会を作っていけるのか、そこが考え続けられなければ、3人の死に意味がなくなってしまうとも言った。

死刑はまちがいなく残酷である。残酷であるがゆえに、なぜそういう残酷な制度が必要な社会になってしまったのかを考え続けなければならないと、彼は問いかけているのだ。

犯人の少年が死刑にされればザマがいいと、ただ単純に興味本意な視聴者となっていた一部のネット住人、そして自分の死刑廃止論の主張のためにこの裁判を利用してきたかのような安田弁護士はじめ弁護団は、この本村さんの深い言葉をどううけとめられるだろう。

死刑廃止の是非をめぐる巷の浅薄な議論をこれほどみごとに乗り越え た言葉に、この9年間彼がどんなに考え続けてきたかを感じる。私は正直感動すらおぼえた。

「ドラえもんが」「復活の儀式」などと意味不明の釈明を被告にさせた弁護団、彼らの方針が死刑回避の何の役にたったのか。世の一般的な人間らしい感情から遠く隔たった、すさまじくKYなこの弁護団のやったことは、むしろ被告から更生感情を奪い、死刑宣告に道を開いただけではなかったのか。彼らの目的や意図が、今回の判決で改めて問われている。

安田弁護士をはじめ被告を擁護する人達と、本村さんとの思いは、これほど大きく開いている。それを思うとき、今日の判決をもたらした一番大きな要因は、本村さん側の思いの深さではなかったのか。もし遺族側が「勝った」という言葉が許されるなら、勝った原因はこの深さの違いであろうと思う。

最高裁は早期に確定を

弁護団は上告するそうだが、最高裁からの差し戻し審。今日の判決が最終章となる可能性は極めて高いし、私もそれを願う。

今回の裁判では、少年法の問題点も注目された。

少年法は更生可能性などを考慮し、犯行当時18歳未満の少年には死刑を科さないと定めている。これには「永山基準」と呼ばれる死刑適用の判断基 準が言われてきた。「永山基準」が示されたのは、犯行当時19歳だった永山則夫死刑囚が警備員ら4人を射殺した事件の第一次上告審判決。最高裁は83年、 無期懲役とした二審判決を破棄し差し戻し、第二次上告審で死刑が確定した(平成9年執行)。以降、犯行時未成年で死刑が確定したのはこの永山死刑囚のほ か、92年に起きた千葉県市川市の一家四人殺害事件の被告(犯行時19歳)だけだ。

今回の判決は、この「永山基準」以降、犯行時18歳1カ月ということで最年少だった被告への死刑判決となる。これはどう見ても、最近の被害者感情を重視した厳罰化の流れを加速するものと言える。 極刑適用の規準年齢を引き下げる判例として、今回の判決が来年5月以降に始まる裁判員制度に与える影響は大きいだろう。

一方差し戻し審として見た場合、戦後最高裁が2審の無期懲役判決を「量刑不当」として破棄したのは、光市の事件で3 件目である。前2件はいずれも差し戻し審で死刑が言い渡され確定している。前2例が、先の永山死刑囚と、仮出所中に強盗殺人事件を起こした西山省三死刑囚 (55)。両裁判とも、差し戻し審判決から死刑の確定まで約3年もかかっている。

今回、被告側は即日上告したが、最高裁判決がいつになるかは未定。ただ最高裁としても「遺族にとって9年は非常に長い」という本村さんの言葉を重く受け止め、早期に結論を出してほしいと思う。

(追記) この裁判には、私なりにある別の視点から語りたいことがある。語りたいこと....彼ら「左翼弁護団」たちに対して。そして奇妙な供述物語に協力したあの「左翼教授」に対して....。これはまたあらためて取り上げたい。

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コメント

本村さん夫妻は北九州市の出身で、私自身大きな関心を持って見つめてきました。
被告に厳罰が下りましたが、弥生さんと夕夏ちゃんは戻って来ないことを思うと、言いたい言葉が見つかりません。弁護団に対しても同じです。
ただ、私が同じ場に立たされたとき本村さんのように振る舞えないことは確か。

今日のスーパーニュースで被告の父親のインタビューが放送されていましたが、自己中心的な発言に違和感を感じました。

事件発生からもう9年なんですよね。
うちの息子は今年で中2ですが、子どもを持つ親になって、こういう事件のいたましさを、いっそう自分に引きつけて感じるようになりました。

でもやっぱり、おっしゃるとおり、本村さんのようには振る舞えませんね。りっぱです...。

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