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2008-05-04

排外主義は排内主義 -- 王千源さん事件

新聞などに書かれた欧米の国際問題専門家の見解を読むと、今の中国の問題は将来が見えないことだと言う。経済発展のスピードと政治体制のアンバランスが、内部崩壊も含めたあらゆるシナリオの可能性を示唆するというのだ。しかし今の中国が、アジアの小国のようにクーデターや革命で一気に崩壊するなど考え難く、この場合の内部崩壊とは、「事実に目覚めた階層」による、もっとゆっくりとした内部変化のほうを期待する。

この前のエントリでこう書いた。

おそらく国旗をふりかざす中国人以外に、もっと冷静に欧米 のメディアを通じてチベット情勢の真実を知る海外在住の中国人も増えていくはず。中国がグローバルな経済にコミットしていこうとするほどに、グローバルな 視野を中国人が持ち始めるだろう。世界経済の中で生き残っていこうとする中国国家は、その動きを止めることができない。これは今の中国が抱える基本的矛盾 である。私は天安門前事件の学生たちが居たことを忘れてはいけないと思うし、こういう光景を見てただ単に中国人全てがダメだとは思わないようにしたい。

香港の聖火リレーでは、中国民主化を訴える中国人団体の話題が出たし、たとえ一部であっても「目覚めて行く中国人」が存在するという視点は大切だと思う。ただ、このことは一方で、「目覚めて行く中国人」と「そうではない中国人」の間に矛盾が生じることを意味する。

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そんな思いの中で次のニュース!

王千源さんへの脅迫事件 北京五輪の聖火リレーが米サンフランシスコを通過した4月9日、デューク大学構内で、「自由チベット」を叫ぶ米国人学生ら の十数人と、親政府系の中国人留学生ら400人あまりが対立。緊迫した空気のなか、同大1年の王千源さんが対立を避けて話し合うよう中国人に呼びかけた。

王さんの仲介申し入れに対し、中国国旗を掲げたデモ隊は「漢奸(売国奴)」などの中傷を集団で浴びせた。直後に王さんの個人情報がインターネットでばらま かれ、中国語で「死体を刻んでやる」といった悪質な脅迫が殺到した。米メディアが事件を報じて、米国社会の強い関心を呼び起こした。

Ousengen_ziken

それにしても王さんに詰め寄る学生たち(一部おっさんも居るような?)の形相のエグイこと。何を信じたらこんな群衆心理になるんでしょうか?

王さん曰く。

悲しいまでにパターン化された「愛国主義」の表現ぶりを、王さんは「愚民化教育の結果」だとみる。「人が愚かであるほど、政府にとっては御しやすい。中国では、学校の道徳の時間は政府の宣伝(プロパガンダ)だと思っていた。愚民化教育は、思考を硬直化させる道具だ」

王さんは94年に江沢民政権が教育要綱を制定した「愛国主義教育」にどっぷり漬かった世代でもある。中華民族の栄光をたたえる一方で、列強による近代以降 の被害体験を強調するこの教育については、「きれいな言葉できたないものを覆っている。過去の被害で現代の他者を攻撃するものだ」と語った。

Ousengen 王さんが語った中の「(こうした攻撃は)排外的なだけでなく“排内的”だ」という言葉をよく考えてみたい。先日の香港での聖火リレーで「チベット・中国の民主化」を求める抗議行動に参加していた女性のスローガン、

『FREE TIBET!, FREE CHINA!』

の意味をかみしめたい。


(追記) 香港の聖火リレーでチベット国旗をもって「FREE TIBET FREE CHINA」のスローガンを付けていたあの女性が、夕方のTVニュース映像で逮捕されていくのを見た。護送車の窓の金網ごしに叫んでいた顔はどうみてもあの女性に見えたが...。

Honkon_kougi_lady

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コメント

■China Fashion Week 開催さる-中国ゼリー層にも押し寄せる情報洪水
こんにちは。3月10日に最初にチベット暴動の第一報が入ったと記憶しています。その後、オリンピックの聖火リレーなどの妨害に備えた、中国の留学生などのデモ、カルフールの不買運動などがテレビで報道されるようになり、いちやく粗暴で粗野な中国の若者のイメージが定着したと思います。しかし、私はこれらテレビで報道される中国の粗野な若者は、これからの中国を担う人材ではないと思います。このような最中でも、チャイナ・ファッション・ウィークは例年通り、開催され、日本のファッションも高い評価を受けています。私のブログでは、中国のファッションショーを題材とし、中国の次世代を担うのは誰なのかを明示させていたたぎました。あの粗野な中国の若者ばかりに注目し、それが中国の若者のすべてなどと思えば、誰が真の中国の革新の担い手なのかを見過ごしてしまう危険があります。是非ご覧になってください。
このブログにも書いてあるように、グローバルな視野に立っている若者、あるい立ちうる若者は少数ながら、中国内外にすでに存在します。彼等こそ、これからの中国を背負って立つ存在です。

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