« 激流中国 最終回 | トップページ | 「松本サリン事件」被害者、河野澄子さん死去 »

2008-07-27

東京都のネットカフェ難民援助制度

今年の6月から東京都はワーキングプア問題への対策を始めた。主にネットカフェ難民への援助制度で、生活・住居・仕事の相談を行い、住宅資金や生活資金の貸付をサポートするものだ。

住宅資金の貸付が一つの柱のようだが、これは住居が無いことで就職できないという悪循環が、ネットカフェ難民問題の根源にあると見ているからだろう。ある意味「もやい」がやってきたような支援活動の一部を、公的機関が始めたといった捉え方ができるのだろうか。これについてのネット上の発言を読むと、そもそも順番が逆なのではないか? との意見が多く見られた。私もそこには疑問を感じる。

体験者の声でも聞かないとはっきりした評価はできないが、この支援のねらいは明確だ。貸付資金の種類として「住宅資金、限度額40万円」「生活資金、限度額20万円」とあるものの、生活資金とは「上記の賃借建物に入居する場合に、生活に必要となる資金(技能講習費、通勤被服費、家具什器費、生活費)とします。」としてある。「生活資金の貸付のみは行っておりませ」とも書いてあるので、住居の確保支援が柱であることは明らかだ。

TVでこの新制度を報じるニュースを見ていると、月収10数万の若者が援助認定され、新しいアパートの鍵を受け取る様子を取材していた。その若者にとっては数年ぶりに手にする鍵。自分が住む家のドアを開ける感触に感動していた。しかし東京のアパートである。取材例では家賃6万。もちろん、ハローワーク新宿等との連携でとあるので、就労のサポートもやっていくのだろう。しかし支援を受けた若者達がこれから安定雇用に就く保証が無いなかで、はたして家賃6万のアパートでやっていけるのか?

チャレンジネットでは「貸付金の返済」として、要件が定められている。それによれば、

  • 貸付金は無利子です。ただし、借用書にある返済期限を過ぎても返済が完了しない場合、残元金に対して年利10.75%の延滞利子が発生します
  • ②返済方法は、借入額を償還月数で返済する毎月均等返済です。(端数処理は最終回)返済は、原則として、金融機関からの口座引落しとなります。

とあり、返済が期日内に完了しない場合の利子はけっして安くはない。「順番が逆なのではないか」との批判は、雇用問題こそが根本解決されるべきだという当然の感想なのだと思う。

そもそもこの高齢フリーター就職難の時期に、60万円で生活できる間に正規雇用なんか見つかるんだろうか。もし見つからなかったら、無利子とは言え負債を新たに抱えた上で、支援しても抜け出せないなんてやっぱり自己責任やんけ、みたいな風潮になってしまうだけのような気も。
そんな事より、普通に生活保護制度使えば当面の賃貸入居のための費用や生活費なんかも出るのだから、生活保護制度の正しい知識の周知徹底に誘導した方がいいような気もするんだけど...。

確かにそうだ。雇用問題の改善とともに、最低賃金額の引き上げや生活保護費の適用枠拡大などの方が有効なはず。最低賃金額と生活保護費の逆転現象も、解決しなければならない問題。最低賃金額が「東京都や大阪府など九都道府県で生活保護費を下回っている」という現状の改善は、ネットカフェ難民が当然大都市圏に多いことを考えれば急務ではないのか。しかしこの問題も、いつものように最低賃金額の引き上げが微々たるものであったり、逆に生活保護費を引き下げることでバランスとりましたとか、従業員数の少ない零細企業だけを引き上げ対象にするとかでは、お話になるまい。

この不況の中でも巨大企業は利益を上げている。問題の本質に踏み込んだ所得や利潤の再配分を考えなければ、本当の改善は遠い。天下の東京都なら、小手先の施策だけでなく、政府にもっと働きかけて欲しいと思うのは間違っているだろうか? 例えば昨年末に起きた「法人事業税の再配分問題」。道路関連税などとのからみで語られることはあったが、労働環境悪化の問題などカスリもしなかった。もともと東京都に圧倒的な金額の法人事業税が入るというなら、その何分の一かを労働者施策に還元するとかいう発想で、政府に対抗する石原知事なんてのも、かっこよかったかと思うんだけど...。

-------------------------------------------------------

他サイトの方も書いておられるように、ネットカフェなどで生活すること事態は、低家賃のアパート暮らしに比べてけっしてコスト的に安いものではないはず。にも関わらず一夜契約的な宿泊にたよる原因は、低家賃のアパートと契約しようにも、敷金礼金などの資金がないとか保証人がないとかが原因。正規雇用だと初月の給与が入るまで金がなく、とりあえずとなると日雇いアルバイトしか打つ手がなくなる。友人や家族とのつながりも断たれ、生活パターンを変えるキッカケも失ったことが背景にあり、そういう暮らしに陥る人達の孤独も感じる。だから東京都のように一時的な住居費用と生活資金を貸すという方法にも、問題はあるとは言え、けっして需要が低いわけではないようだ。

厚生労働省の調査で、東京23区内にはネットカフェ難民は約2000人居ると推定されるとある。年令別に見ると、20~30代が41.5%で、 40~50代が45.5%。1カ月の収入は平均10.7万円、65.5%が非正規雇用、23.6%が失業しているとも。「開所した直後は電話が鳴り止まなかった」とあり、いかにこういう支援を求める人達が多いかを示しているのだろう。ただ、「電話の多くは、40代の男性」というのも目を引く。「ネットカフェ難民」という言葉が、いかにも若者たちの抱える問題という印象を持たせるが、もう若くはないのにいまだ正規就労につけず、あるいはリストラなどでそこからこぼれ落ち、ずっと這い上がれないままに40代になっても住居が定まらない独身男性という姿が脳裏に描かれる。ワーキングプア問題は全国民的問題だと言うのも、何をいまさらと言われそうな時代になってきている。

-------------------------------------------------------

ところで、ピントがずれてると叱られるかもしれないが、東京都のこの住居支援の取り組みに、今は都市基盤整備公団(UR)と名前を変えた「住宅・都市整備公団」いわゆる公団住宅の話がまるっと出てこないのはなぜだろう?

公団住宅というのはもともと高度経済成長期の1955年頃、都市に流入してきた労働者に対して、良質である程度安価な住宅を供給するという目的で作られたもののはず。1956年に建設された金岡団地(大阪府堺市)が第一号なんだそうだが、私も父がまだ若かった頃、その金岡団地のとなりにできた白鷺団地に小学生時代住んでいた。その頃の公団住宅というのは、画一的な造りだが、ある程度民間より安く住めるという印象があり、80年代頃までは入居競争率もけっこう高かった。

それがいつのまにか民間より高い家賃の賃貸も頻出する、ある種高利益追求型の単なる不動産業者になってしまった感がある。大阪府内の公団住宅でも最近は空き部屋が以前より多い。不動産価格の下落で、公団の賃貸より民間の中古物件でローンを組んだほうが、月々の支払いが安くなる事例も増えたので、ひところより公団の人気が下落しているからだ。

昔知人の女性で大阪府の公団のトップの娘が居たが、彼女の父親が家で、事務所の管理職のために10万以上するような皮貼りの椅子を注文したと自慢していたそうである。彼女はその時「お父さん、それって最低やで!と言ってやった」と語っていた。もともと公団住宅には福祉的な視点がないわけではないのである。1995年の阪神・淡路大震災では、実際に約2万戸の新設住宅を建築するなどして復興を支援した。

公団住宅は、一定以上の年収または貯蓄がないと原則入居できないなどの制約があるが、一方では賃貸借契約の締結時に保証人を必要としないとか、敷金は必要だが、仲介手数料および礼金が不要であるなど、生活困窮者にとって一定のメリットがある。新築の賃貸は家賃が高いが、公団初期に建てられた賃貸ではまだまだ安い物件もある。もちろん公団住宅にもある程度の税金が注入されて成り立っているわけだから、たいして税収の見込めない甘ったれた若者に公団まで持ち出して支援する必要はないといった、きっつーい御意見の方も居るかと思う。それに、明日の生活もままならない人達に公団住宅と契約するのは不可能に近い。

しかし、せっかくネットカフェ難民を救済しようというのなら、東京都とURが手を組んで支援しようというような話が少しは出てもいいように思うのだが、私の言ってることは世間知らずの公団知らずなのだろうか?

-------------------------------------------------------

ところで話しは変わるが、どんな御時世でも人の不幸につけ込んで不当な商売に走る輩は居るもので、最近話題になったこういう事件を聞くと、東京都の支援事業の影で、そのこぼれたエサにあずかるハイエナが徘徊しているようにも思える。

敷金礼金0で若者を誘い込む詐欺的マンションの脱法行為なのである。契約形態が法の裏側を突いた奇妙なものである。例えば「TOKYOチャレンジネット」でお金を借りました。都が指定する不動産業者でアパートを借りることができたが、数ヵ月しても安定雇用に就けず、家賃が払えなくなりました。で、退去した矢先にこういうおいしい話しに誘われて悪徳不動産の罠にかかると。何か簡単に想像できる最悪の事態が目に浮かぶ。

いつも思うのだが、規制緩和をするからには、けっして緩和してはならない部分がどこなのかを十分検討すべきではないか? 規制緩和と同時に、国民の立場に立って、手厚く保護あるいは逆に強く規制すべき問題は潜んでいないのか? 行政はそこがいつも抜け抜けのように思うんだがどうだろう。どうも悪いことする人達のほうが頭がいいような気がしてしかたがない....。

« 激流中国 最終回 | トップページ | 「松本サリン事件」被害者、河野澄子さん死去 »

コメント

初めまして。30代前半の固定派遣です。夏の間だけネットカフェ難民をしています。普段は派遣会社の寮で暮らしておりますが,エアコンがないから暑くて.......。寝られん^^:  ところで日雇いのネットカフェ難民派遣は,うちの会社にも多数います。一言で言えば,ただのバカですね。仕事への情熱なし,スキルもゼロ,向上心もまるでないは,おまけに忍耐もないから他の派遣からも馬鹿にされる.....。同じ派遣ですから最初は同情もしましたが,今はそんな気持ちも吹き飛びました。真面目に日雇いのネットカフェ難民派遣は,もはや目障りです。政府がこれら難民派遣を救済しても,大多数はネットカフェへ戻って行くでしょう。人生にも仕事にも向上心を維持出来ない彼らに,税金を使ってまで救済をするのは如何なものでしょうか。無論,私は反対です。私の周囲にもかつて,日雇い難民派遣の身でありながら,努力でスキルを高めて,技術系派遣になった方も何人かおられます。税金を使うよりも,本人の努力を問うべきではないでしょうか。

私は派遣労働とかやったことがなく、ずっと技術系の正社員なので、体験がないという意味で、ネットカフェ難民と言われる人達に厳しい意見は言いずらいです。
ただ、正社員であろうとAyaさんのおっしゃっていることはあてはまりますね。他人に自分の仕事をやってもらって「楽だなー」で終わる人は伸びないし、逆に自分が理解できるまで、とことんこだわってがんばる人は、知らないうちに伸びていく。TVでワープアの特集とか見てても、そこに居るのがもったいないような能力のありそうな人がいたりします。
安易に資金援助するより、貧困層からデキル人間を発掘するような制度にお金をかけたほうがいいかもと思います。もちろん企業と連携してですけど。

この間、たまたまネットカフェに行きましたがいましたね、難民ぽいのが。マナーないし、ブースの戸の開け閉めは雑、わざとらしい大きな咳払い、独り言、おまけに異臭。そんなクズになんで救済する必要があるのか理解できません。彼らは馬鹿ばかりだからこちらが優しくすると図に乗るだけでしょう。 駆除したほうが世のため、人のためです。足手まといはいらないです。目障りだから(爆笑)

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/120253/41891785

この記事へのトラックバック一覧です: 東京都のネットカフェ難民援助制度:

« 激流中国 最終回 | トップページ | 「松本サリン事件」被害者、河野澄子さん死去 »

aBowman

別荘はこちら

  • Marbles2
    音楽、美術、映画、本など趣味的なページはここに移転しました。考えるのが面倒だったので、タイトルは単に2です。

ウェブページ

2018年2月
        1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28      

mail

  • 82pkdick@gmail.com

最近のトラックバック

無料ブログはココログ