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2008-08-18

サブプライム問題は悪化しているらしい

近頃一般のTVニュースで経済ネタと言えば、石油価格の高騰の話題がメイン。昨年のサブプライムローンの話は減っているように思える。もちろん完全に忘れられたわけではないものの、横に置かれている感がある。サブプライム問題は鎮静化したの?

いやいやとんでもない。もっと専門的な経済雑誌やネットの情報では、軽視されている状況など皆無。むしろサブプライム問題はいっそう深刻化し ている模様だ。

アメリカでは、今年、第2四半期(4〜6月期)の米国の住宅差し押さえ件数が、驚くほど急増していると言う。以下 NBonlineや経済系雑誌の記事からの情報もまじえて概観すると...。

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■アメリカの住宅の差し押さえ件数は過去1年間で53%増加。

悪化するこの問題は、もはや持ち家を追い出された低所得者だけの問題ではなくなり、不動産に何らかの投資をした全ての人々をまきこんでいるようだ。

今月の日経ビジネスによれば、せっかく手に入れた我が家を、差し押えられて追い出される人達のモラルの崩壊が甚だしい。どうせもう自分の家では無く なるのだからと、出ていく前に家のあちこちを破壊していくのだとか。ある物件では、不動産屋が競売前のチェックに出向くと、庭のプールに冷蔵庫や チェストが投げ入れてあった。そのため、空き家を確認後に不動産屋がまず行うのは、元の主が戻って来れないように鍵を交換することらしい。

しかし追い出されて家を失った人達のその後は、悲惨なケースもみられる。

東洋経済8/9号は、立ち退きと同時に離婚などして家族を失い、自身は車上 生活者となった男性の現地レポートを掲載している。このガソリン費高騰の御時世である。車上生活といってもある場所にじっと止まっていられるわけもなく、 移動することが、さらなる負担となってのしかかる。

サブプライムローン問題の泥沼から救いを求めて、ネットで弁護士を探し回る人が増えていると言う。

ある弁護士評価サイトでは、不動産の差し押さえ問題を専門に扱う弁護士の検索件 数が、6カ月間で8倍に増えているそうだ。これらの人達がネットで求めているのは、自己破産を回避する方法だが、中には悪質な夜逃げのような手法も生まれているようだ。どういうカラクリかはわからないが、法のすき間を利用して借金を踏み倒す人が増加しているらしい。

アメリカ生活をしているある方のブログにこんな内容があった。

  路上生活者?車上生活者のが正しい言い方であろう。がいるとのことで、アーバインのあちらこちらのプールのシャワーを使いながら、車の中で生活をして、しのいでいるらしい。
  住民がアーバインの組合に電話を入れたところ、そういうことは組合はタッチしないとの回答で。アーバインに住む警察官に頼み、車のナンバーから(なんと車種はランドローバー)個人的に調べてもらったところ、ニューポートビーチにある自分の家のローンを支払いができなくなり、追い出され、そのような転落の人生の結末になったらしい。
  このような話はまだマシなほうで、サギ、放火、殺人未遂、アメリカ全土で不動産を通してのトラブルが続出している。そして早くきちんとした数を公表するべきだと思うが、アメリカ史上、払えないローン、価値の下がった物件から身を引く、夜逃げ数が莫大な数になっている。ここオレンジカウンティーもその中枢の1つである。

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ローン返済不能者の問題は、返済を続けている者にも回って来る。

アメリカでは、差し押さえに関する法律が州によって異なるそうだ。例えばフロリダ州では、差し押さえられたマン ションの未払い共益費を、住宅ローンを支払っているほかの入居者が分担して支払うことになる。このため、一部支払い不能に陥った住人のせいで、年に40%も共益費が上 昇するようなケースもあるらしい。差し押えをされずにすんでいる人も、こうして高額になっていく経費を解決するために、やはりネットで弁護士探しをするのだと言う。例えば、きちんと住宅ローン返済を行っている入居者が、融資元の銀行やその差し押さえ物件の購入者に、費用の一部肩代わりを求め、訴訟を起こすといったケースが出てきている。

サブプライムの問題は、プライムであったある程度裕福な人達へも影響している。

House4sale_2 問題の背景には、もともと住宅価格がしばらくは上がり続けるだろうという楽観的な見通しがあった。ある程度資金に余裕のあった人達が、景気の良かった頃に投資目的で買った家も多い。昨今の価格崩壊で、競売に出しても売れない空き家が増えてきているのだとか。一時は40万ドル近かった家が、最近は20万ドルを切るケースもあり、中小デベロッパーも倒産している。また、投資物件として賃貸に出されていたマンションが競売にかけられ、そこでテナントを開いていた人が、自身はローン破産したわけではないのに追い出されるといったケースもある。

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ところで、日本の一般TVニュースがサブプライムを取り上げる機会は減ったが、
人々のサブプライム問題への関心は高いようだ。その証拠に、この本が売れ続けている。

Subprimmondai_2
サブプライム問題とは何か アメリカ帝国の終焉 (春山 昇華(著)宝島社新書 254)

経済の話を難しく語るのでなく、現場で投資経験を積んできた著者による、生々しいレポートである点がわかりやすい文章につながっていると思う。

私も遅ればせながら最近読んで、今、続編「サブプライム後に何が起きているのか」を読んでいる最中。

この本を読んで、住宅ローンが証券化されるということの意味がよくわかった。金融技術の進歩が、経済活動において新しい形の悲劇を生んでいるのではないだろうか。石油投機マネーで振り回されている今の状況を考える上でも、証券化のもたらす問題は大きなポイントになる。

証券化されたアメリカの住宅ローンに投資していたのは、アメリカ人だけではない。蓋を開けてみれば、ヨーロッパやアラブの投資マネーまで巻き込んだ、グローバルな問題になっていた。何よりサブプライム問題でアメリカの住宅ローン証券市場を引き上げた投機資金の多くが、今、穀物や石油先物などに投資されているという現実。全てはつながっているという認識で、我々の生活への影響を見ていく視点が必要だろう。
  20年も昔なら、アメリカの経済状況が日本のそれに関係しているという話は、投資家や経済学者ではない一般人にとっては、多少理屈めいた、わかるような分からないような話であったかもしれない。しかし今や、グローバルな経済が、我々の日常の物価に影響している事態は、経済学などわからない一般の人々にも、ある程度実感できる。

著者の春山氏は、年金不信を引き金として、日本でも悪徳な「リバース・モーゲージもどき」商品が現れ、日本版サブプライムが出現することを懸念している。それは何としても避けたい現象だ。だが、私は住宅ローンが証券化することによって、借り手と貸手の関係が檄的に変わるという著者の指摘にゾッとする。裏の世界ではなく、表の世界で崩壊が始まるのではないかと気になる。

かつて証券化されていない頃の住宅ローンとは、借り手と銀行の関係であった。それはある程度、相手の顔が見える関係であり、借り手が金を返せないとか返済期間や時期を調整してほしいと思った時は、ある範囲での融通が効いた関係でもあった。
  住宅ローンが証券化されると、投資を介在する何らかの機関に証券としてそれを売り渡した後は、銀行はもはや債権者ではなくなる。証券化されたローンは、複数まとめられ分割されて売られることになり、場合によっては、住宅ローンではない他の証券と混ぜ合わせて販売される。一人の借り手に対して一人の貸手が対応する古典的な関係は、そこにはもはや無くなる。借り手である住民にとっての債権者とは、どこかに居る顔の見えない複数の投資家になる。場合によっては、それは日本人ですらないかもしれない。

証券としてローンを手放した銀行にとっては、後は借り手と投資仲介機関との間をとりもち、何らかの手数料さえ入ればよいことになる。借り手の経済状況や、投資側の事情など銀行にとってはどうでもよく、とにかく契約の数を稼げばよくなる構造がそこにはある。春山氏は、このことによって、「証券化が銀行側のモラルの低下をもたらす」と指摘する。証券化後の世界では、住宅ローンが払えなくなっても、もう誰も助けてくれない。借り手に与えられる時間的猶予はなく、投資家たちの採算を取るために、家はとりあえず競売の対象と化すだろう。これが今のアメリカの住宅問題の実態を招いた構造そのものである。

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日本では、住宅金融公庫の業務を継承した独立行政法人である 住宅金融支援機構 が小泉政権時代に発足。従来のような、家を買いたい一般国民への融資活動を止めて、投資家との間に入って証券化住宅ローンを扱うようになった。商品の具体名としては「フラット35」」 というのを扱っている。これで住宅購入時の資金融資は、主に銀行が扱う形に絞られた。住宅金融支援機構とは、もともとが公的機関である住宅金融公庫の後継 であるので、証券化ローンと言っても公的機関の後ろ盾がある分安心である、アメリカとは違うぞというのが、一般庶民への説明である。

しかし、この住宅金融支援機構においても、先に指摘したような、借り手にとっての債権者が、どこかに居る顔の見えない複数の投資家になるという構造に変わりは無い。公的機関だから安心だという意味は、本当は投資家に向けてのメッセージではないのかと感じている。

米財務長官はこの前の7月13日、財政が悪化しているファニーメイと弟分のフレディマックの支援を表明した。 ファニーメイとフレディマックとは、全米住宅法、住宅金融法などに基づき、米国政府が設立した機関で、要するに住宅ローン市場の整備発展などを目的とした米国の政府系住宅金融機関である。役員の一部は大統領が指名するなど、米政府との密接な結びつきがある。

ファニーメイもフレディマックも、債券を大量に発行している。政府系金融機関だということから「万が一の場合も米国政府が保証してくれる」との認識があり、世界中の機関投資家たちは、米国債より気軽に、ファニーメイ債やフレディマック債を購入してきた。この両金融機関は、庭付きの大きな持ち家を夢見るアメリカ人にとって、アメリカン・ドリームを実現してくれる心強い見方だったようだ。米国民が誇れるこの両金融機関の営業不振と政府の支援決定は、アメリカ人にとって相当ショッキングなニュースだったらしい。

小泉政権は、住宅金融支援機構を発足させる際に、実はこの ファニーメイとフレディマックを大いに参考にしたと聞く。住宅金融支援機構の役目は、証券化住宅ローンを扱う業務に特化されたとは言え、それまでの住宅金融公庫時代の貸付金残高を多量に保有し、それらの既存融資についての残存業務は継続している。そしてこの既存融資の中で、不良債権化する融資の率が年々増加してきていると言う。すでにこの問題については、日本版サブプライムを懸念する本も現れ、次に読んでみようかなと思っている。(日本版サブプライム危機 住宅ローン破綻から始まる「過重債務」 (ソフトバンク新書 82))。

警鐘を鳴らすべき時期なのかもしれない。

サブプライム問題は、対岸の火事ではなさそうだ。

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