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2008-08-16

銚子市立総合病院がえらいことになってます (2)

前のエントリ「銚子市立総合病院がえらいことになってます (1)」の続き。銚子市立総合病院の経営危機問題、その市民向け説明会の動画を見たりしての感想である。

今度はJanJanの記事には書いていないこと、もう少し違った視点で見てみる。

まず地方自治体の財政規模の問題。

千葉の無党派議員 鈴木友音氏 によれば、千葉市にも海浜、青葉という2つの市立病院があり、平成20年度予算において千葉市は、両病院に総額約44.7億円もの資金援助をしている。つ まり両病院は事実上平成20年度だけでも45億円近い赤字を出しているという。それでも潰れないのは千葉市にこれを補てんするだけの財力があるからだと。 これはもっともな意見だ。銚子市の場合は、千葉市に比べてかなり自治体規模が小さいので、病院の損失を補てんするだけの財力がない。病院の存続は自治体そ のものの体力にも大き く左右される。

鈴木議員は書いている。

自治体病院の「役割」は利益を求められる民間病院では担えない不採算医療をカバーすることです。要するに、そもそも構造的に自治体病院の経営は赤字になるものなのです。たとえ赤字であっても地域の医療サービスを低下させないために維持していく必要があります。

もちろん、だからと言って現状の自治体病院の高コスト体質をよしとしているわけではありません。不採算医療を担いつつ経営の効率化を進めていくことは、大切な税金を預かる自治体として当然やっていくべきです。

確かにどこまでも不採算ではやっていけるはずがない。だから効率化も追求する必要があると。問題はそのバランスなのだが、鈴木議員がどういう意見か これ以上わからないが、議員や自治体関係者の中には、公立病院や公立の福祉施設は全体として赤字であってもしかたがない、効率化とはできるだけその赤字幅 を減らすことだと考えている人が居るように思える。どうだろう? 例えば診療科の中には不採算部門があったとしても、病院全体として採算がとれるような経営を目指してはいけないのだろうか? アメリカのように、過度に効率化と利益追求を目指せば、サービスが劣化し医療関係者の労働環境が悪化するのは目に見えているが、だからといって赤字覚悟の 公営か、利潤追求優先の民営かという2者以外の、再生への別の道はないのだろうか?

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個人的にこの再生への道は、完全なる公営のままでは不可能かと思っている。経済学的にも「公立」は、効率化への取り組みが甘くなるような構造を持った経営形態だ。例えばあるサイトで見付けたこんな書き込み。

「私の息子も研修医を市立病院でしていましたが、掃除のおばちゃんが700万、息子の給与が400万。32時間勤務の当直料込みでばかばかしくてやってられな いと言っておりました。氷見市立病院でも労組が強く経営改善ができませんでした。市民が自らのライフラインをどうかんがえているかでしょうね?」

氷見市民病院というのは、富山にあり、経営改善と病院改築のために全職員のボーナス最大1カ月分をカットすることになった病院だ。病院が職員のボー ナスを一律カットするというのは、全国の自治体が運営する病院では異例だった。一般企業でもそうだが、経営難で給与カットと言うとき、安月給の若い社員 と、上級幹部までが一律カットではやってられない。その点ここは病院の話なので、その病院全体の職員給与のバランスがどうだったのかが問われる。以前に読 んだ、伊関友伸氏のブログに氷見市民病院の情報があった。

平成16年の地方公益業年鑑で見ると、氷見市民病院の准看護師の1月の平均月収が608,189円(49歳)なので、年収換算すると約729万円。 民間に比べて、やはり高いように思われる。しかも氷見市民病院の准看護師数は33人と他の富山県の自治体病院に比べて圧倒的に多い。

そもそも平成16年の氷見市民病院の経営状況は、

    医業収益が 5,746,998 千円
    医業費用 5,859,785 千円
    医業収支比率 98.1 %

自治体病院としては優秀な方だったと。

49才の准看護師の給与が高かったとしても、若い職員はそうではないだろう。伊関氏も書いているように、役所的発想の一律主義で経営危機を乗り切る 考え方は問題がある。なぜならそこには経営がないからだ。一律主義的なやりかたで、職員への正当な評価が伴わない給与システムを続けていると、これは企業 でも同じだが、良いスタッフが集まらない。

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で、銚子市立総合病院はそのへんどうなのよ...ということが気になるのだが、YouTubeの報告会の動画に出てくる。その中に市の職員からの報告として、平成18年度の市民病院の職員給与水準というのが出てきた。それによれば、

看護士     :614万 (41.9才)
准看護士   :658万 (48.1才)
検査技師等 :678万 (43.1才)

平成19年度は看護職と医療技術職のボーナスカットによって9400万の経費削減をしたとあるが、職員給与費対医療収益比率(医療行為による利益に対して人件費の占める比率)は78.2%と、全国平均55.5%に比べてかなり高い。資料が比較の対象に出している同じ千葉の旭中央病院が42.1%なのに比べると、さらに人件費がかさんでいるのが分かる。

民間のサラリーマンの平均年収が500万を切っている今の現状で、上記40才代の職員の年収を100万カットしてもまだ一般企業の水準までは落 ちない。今までの経営努力を説明する市の係は、職員の給与削減では市がしてきた9億円の補填に対して、いくらの足しにもならないと説明していた。確かにそ うかもしれないが、それは1%プラス程度の微々たる改革をチビチビやるからで、何も100万も削らなくても、本気になれば職員給与のある程度の引き下げで、200人ほど居るのだから1億円以上の 経費削減は可能だろう。それも、今居る職員や環境からの削減では難しいが、短期では無理でも、長期的な計画でコスト圧縮は可能ではなかったか? 人件費以外にも、沢山見直すべきところはなかったのか?

大阪の橋本知事ならやるだろうな。ここらへんにも、誰も悪者に成りたくないし、かといって責任も取りたがらない、役人気質を感じる がどうだろう。

もちろん人件費だけが問題なのではない。むしろ人件費の高さは、他の様々な面でも、コスト高な運営になってしまっていることの象徴と捉えられる。また、医者が不足しているのだから、医者や看護婦の給料をやみくもに下げてしまえば、さらに経営が悪化する。必要な人件費は確保しなければ、本末転倒の財政改悪になる。ただ、鈴木議員も書いているように、多くの自治体病院は高コスト体質を抱えている。コスト削減の問題は、そう簡単に避けて通れない。ならば、運営主体である自治体側が、この問題にこれまでどう取り組んできたのかが問われる。動画で見える銚子市民の表情からは、これまでの市の取り組みがかなり不透明であったことが伺える。病院のことを言う前に、自治体運営自体が高コストでは話にならないだろう。

これは想像だが、おそらく、肚をくくった大幅で抜本的な改革など今まで無かったのであろう。だから今になって、経営こんなんなってます、もうダメポです、ごめんなさいと、ク ソな結果報告会しかできなくなってしまったのさ。ビデオの中でも報告会に来ていた人達の中から、「給料高過ぎるんでねーのか!」とのヤジが飛んでいたのも 致し方あるまい。「市長やめろ!」との怒声もしかたあるまい。

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ネットで読んだ情報で裏附けにとぼしいが、一年ほど前、銚子市立総合病院には、経営の再生を目指して全国組織の民間病院が経営の肩代りを名乗り出ていたという。これを、岡野市長と共産党、民 主党が議会で反対していたという話があるのだ。今さらそんな話をしても無意味であろうし、ここまで赤字が増加してから経営をお願いしても、どこかの破綻し た公営リゾート地と同じで請け負うはずがなく、判断が遅すぎる。説明会のビデオには、市長の話の中で、民営化を打診した際、医者から「そんなの決まった時点で全員辞めていくよ」と言われて、どうにもならなかったとの内容が出てくる。やはり民営化案はあったのだなと。もちろん民営化=OKなどと安易に考えるわけにもいかない。要はやりかた次第で吉にも凶にもなる。
  しかしこの話が本当なら、市民病院の経営難の根源には、医師不足と市の運営のまずさや利権 と、そして職員組合の問題が浮上する。いっそう複雑なからみになってくると思えるのである。

つまりこの病院の経営がここまで悪化するまでの過程で、職員の給与体系の見直しや民間委託をも含めた病院経営の効率化への取り組みがどこまでなされたのか、職 員側はそれにどこまで協力してきたのか、市民はその過程をどこまで知らされているのかという点が、上記JanJanにある市民運動の記事からは見えてこな いし、説明会の市の報告プレゼンからも、な〜んにも分からない!!

余談だが、先のJanJanの記事には、市民団体のビラなどから引用したらしき文面が含まれている(ように私には読める)。その中に「到底納得できません」 「一片の道理もありません」というような語尾が出てくるのが時々気になる。どこかの政党のビラの文章に似ていませんか? 言わんとしてることが分かるだろうか? いやまた、これ以上突っ込むと怒られるのでやめておこう(笑)。

さて、銚子市立総合病院の問題が、これからどういう展開をするのか、非常に気になるが、TVなどはもっともっとこの問題を取り上げるべきではないの かと。よその話ではけっしてない。わが市民病院にも同じような危機がせまってきている。千葉の問題からは、いろいろと学ぶものが多いかも。


Tyousi02

8月5日:市役所前での署名報告集会
 

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コメント

平成11年頃、医師として大学の医局より派遣され勤務してましたが、この病院が休止に至った原因は医師不足だけではないと思います。以前より職員は地方公務員でいわゆるお役所体質から抜けられず、さらに銚子市民の気質というかなんというか、なんとかなるだろうという、自己責任のなさが加わり、赤字が累積し、執行部が改革を訴えても響かない!人件費が高く削減しようとしても職員は地方公務員なので金も人も減らせない状況でした。早く見切りをつけて民間に委託すべきでした。東京の私立の医大のほうがよっぽどコストに敏感で患者さんに見えない部分はいちはやく後発医薬品を導入してました。潰れて当然と思います。

拝啓、私はJANJANの投稿記事を書きました銚子市の青野と申します。
銚子市立病院の人件費の問題でいろいろこのブログで論じられておりますが、この件でわたしの主張したいことを簡単に申し上げます。
市立病院では新しい医師の研修制度による常勤医師の減少と相次ぐ診療報酬の引き下げにより2007年度に大幅に医業収入が悪化しました。
この時点において、人件費比率の分母となるべき医業収入の大幅な減少にともない人件費比率が2007年度に最悪のピークである78.2%を記録したことは事実です。
しかし、この時点では市長は公約である市立病院存続の立場にたっており、病院の経営再建のために本庁からスタッフを送り込み「健全化計画」を作成し経営の改善に本格的に着手しました。
そして、この計画は人件費比率60%をめざしながら経営の建て直しをはかろうというものであり、最近では病院経営の面で明るい兆しが見えてきていたと当時の病院スタッフから聞き及んであります。
この時点で市長が公約を堅く守り、病院スタッフを信頼し、この「健全化計画」を着実に実施していけば市立病院の9月末休止などには絶対にならなかったはずであります。
しかし、市長の態度の豹変によりこの「健全化計画」は足蹴にされてしまいました。
そのうえに市長は国が自治体に「経営の効率化」のもとに公立病院の縮小・削減を押し付ける「公立病院改革ガイドライン」に強い影響(おそらく)を受け、独断で市立病院の9月末休止(事実上の閉鎖)を決めてしまったと言うのがこの間の経過の真相であります。
そして、これからの市立病院存続を巡る攻防のなかでは、市長の政治責任を覆い隠し、病院閉鎖の責任を市立病院の職員の「高給」や「ぬるま湯的体質」に求める議論のすり替えが、2007年度の経営が急速に悪化した時点での瞬間最大風速である人件費比率78.2%の数字を使っておこなわれるであろうことは容易に想像できます。
最後に一言だけ言わせてもらえば、この人件費比率の問題は問題の本質を覆い隠す役割をはたすものであることをご指摘したいということです。

以上であります。

銚子市 青野

同じ日にお二人の方から真剣なコメントをいただきありがとうございます。

もともと自分の市の病院の経営危機から、偶然目にした銚子市立総合病院の出来事に関心を持ったのがこの記事のはじまりです。私の住む大阪から銚子市は遠く、ネットであちこち拾い読みして書いた私なりの意見なので、人件費比率の数値がどういう意味であるか等のことについて、現場に近い方と意見するほどの材料を持ち合わせません。現場で苦労されている方には、無責任な記事と映るかもしれません。

ただ、コメントを下さったお二人の方の見解の方向が、全く違うのは非常に興味深いです。それにお二人とも現場のことを知ってらっしゃる方のようですし...。

自治体が別の部分で非常に経費のかかる、場合によっては無駄の多い事業をしていて、そのしわ寄せを市立病院などの弱い部分に押しつけるということは、実際多くの自治体で問題になっているし、くだらない「箱もの」がたくさん存在するのがその証拠と思います。JANJANの記事を読んで、銚子市にも、PFI方式による新しい市立高校の建設だとか、大学誘致の話とか、何か不透明な要素があるなとも思います。そういう自治体固有の問題の真相は、外部の者にはなかなか見えません。

ただ、部外者とは言え、少なくとも自分の住む街の病院も大丈夫かなーと思って、こういう銚子市のような出来事を知ろうとする人間は非常に多いと思います。これから先、この問題は日本国中にもっと広がっていくようにも思います。人々の関心もさらに広がるでしょう。ほとんどの人は、紹介している市の説明会のビデオに出てくる人達のように、内部の人間というよりも病院の利用者として関心を持つと思います。ならばもっと本質が明らかにされるべきではないかと。

例えば外の人間から見ると、人件費比率60%をめざしながら経営の建て直しをはかろうとして、明るい兆しが見えてきていたのなら、なぜ市長が9月末休止を宣言したのか、内情を伺うほどよけいに疑問も深まります。

病院が努力しようとしたその間の経過が、公平な目で分析されて語られない限り、外部の者にはよけい見えてこないのです。市長の独断で病院の閉鎖が決められてしまったということが、ことの本質なら、市長がおかしな奴だった、市長を替えろ、という方向の話になりますよね。それだと、最初の匿名の方が書いておられる、「休止に至った原因は医師不足だけではない...職員は地方公務員でいわゆるお役所体質から抜けられず、...なんとかなるだろうという、自己責任のなさが加わり、赤字が累積」といった意見の切実さにどう答えていけばいいのでしょう?

確かに「人件費比率の問題は問題の本質を覆い隠す役割をはたすもの」として、問題をすり替えようとしているある種の立場の人達に利用されているのかもしれませんが、最初の匿名の医師の方の意見が、なにか本質を覆い隠そうとして書いておられるとは、とても思えません。もちろん人件費のことは問題のごく一部でしょう。でも最初の方の意見は、単に人件費のことを言っているわけでもないと思いました。言い変えれば、この問題、自治体の長が政治責任を果たすだけで乗り切れる問題なのでしょうか?

最初に書かれた医師の方の話は、「以前」ご自身が勤務なさった頃の話。その頃なら、どこの自治体病院でも同じだったでしょうね。
私立医大は、付属病院で黒字を出さねば「医大」がつぶれてしまいますから病院部門でコストに敏感なのは当然。
さて、青野さんの投稿は「最近」の話。
総体として、06年診療報酬改定によってコストに敏感なはずの民間病院も多くが赤字に転落しました。耐え切れないほど、下げられてしまった。これがまずあります。
新臨床研修医制度の問題は確かに大きいのですが、それは、それまでの間、自治体が大学医局に医師確保をまかせっきりにしてきた、ことの裏返しなのです。言葉がきついかもしれませんが「医師を使い捨て」にしてきた自治体病院が多いのも事実なのです。大学医局側から見れば、医師を送りたくない、医師を酷使されるだけの病院、となるでしょう。
銚子の場合、前々任の、そして前任の院長が「辞職」したことの意味を考えねばなりません。なぜ、病院を守ろうとしていた彼らが「燃え尽きた」のか。
推察されるのは、市長、あるいは市幹部と病院側との意思疎通がなされていなかった、ということでしょう。

病院側事務局が作った経営改善案という努力があったから、それを評価して自治体病院協は応援の医師を派遣しようとしていた・・・・というコメントを見出すことは簡単です。あるいは、今年度中の医師増員の見通しが立っていたことも紹介されています。

でも、市長が信じたのは民間コンサルの意見だった。(市立高校の建設にPFIを導入するくらいの方ですから、むべなるかなと思います)

銚子市立病院の破綻パターンは、あなたのお住まいの大阪、阪南市の市立病院の破綻パターンと非常に類似していると見ています。


一歩踏み込んだご意見、ありがとうございます。
新臨床研修医制度の問題は、裏を返せば、自治体が大学医局に医師確保をまかせっきりにしてきたことという見方は、素人には考えたことがなかったので参考になります。
説明会の動画の中で、市長が、「民営化を打診した際、そんなの決まった時点で全員辞めていくよと医者から言われて、どうにもならなかった」と釈明する場面がありますが、市側に都合のよい解釈で語られているだろうことは想像できます。市民参加型の協議会のようなもので、経営危機を乗り切っていこうとしている病院もあるようですが、銚子市の場合はどうだったのでしょう。動画を見ている限り、突然の休止発表に市民は戸惑い、怒り心頭という感じに見えます。
書いておられる「推察されるのは、市長、あるいは市幹部と病院側との意思疎通がなされていなかった」ということの中身が、できることならもっと早くから考えられて、情報公開されていればとも思います。勉強不足なのでよく分からないのですが、PFI的な民間委託は、自治体と企業との契約形態しだいでは、かえって経営が悪化するとも聞いています。市長の提案した民営化案は、どういう内容だったから、病院側の理解が得られなかったのでしょうか? そのあたりが明らかにされると、銚子市の問題から学ぶものも多いのではないでしょうか。
最初の医師の方が書いておられる「お役所体質」のことは、経営危機にある市民病院の職員に当てはめるのは酷かとも思うのですが、一般論としては大阪で今まさに渦中の問題です。改善されるべき課題ですが、同時に悪用されやすい課題でもありますね。そこだけに矮小化されてはならず、かといって経営を考えていくと避けて通れない。書いておられる06年の診療報酬改定の問題とともに、医者不足は一番大きな問題なのでしょうが、突っ込んでいけばより複雑にいろんな原因がからんでいると感じます。
自治体病院の問題は、もう病院や自治体だけで解決できることではなく、国の政策で何とかしないとどうにもならない問題になりつつあるように感じます。

 そもそも、市や町レベルの自治体ごとに総合病院が必要なのでしょうか?
 私は平成6年から8年まで、大阪府下の公立病院で産婦人科医として働いていた経験がありますが、婦人科医が3人しかおらず、月の半分以上当直し、帰宅したくてもできなかった日々を過しました。産婦人科も小児科も他科の医者が替わって当直などできず、一般当直(2次、3次救急以外の当直)が複数の科の医者で分担しているのを羨ましく思ったことも、1度や2度ではありません。
 その時に思ったのは、自治体ごとに市民病院などを作るのは医師・看護師・検査技師といったような人材だけでなく、経費面でも贅沢で、税金の無駄遣いなのでは?ということです。
 私の勤務していた地域は、大阪府南部でしたが、各市町村毎に公立病院がある地域です。各病院毎に各科の医師が3~6,7人、産婦人科医・小児科医に至っては3人程度の人数を各病院に分散させていました。そのため、各病院の医師の負荷は増えていく一方で、人員も給与も増やしてもらえない情況でした(当時の話ですが)。
 もし、この地域の病院を3つか4つを1つに統合すれば、初期投資は必要ですが、各科の医師・看護師の人員も統合された病院では充実しますし、事務や警備の人員を減らし、医療設備についても経費節減できるはずです。このことは、日本全国にも、当てはまるのではありませんか?
 確かに、医師を増やすことは必要かも知れませんが、医療費を税金で賄っている以上、医療費を何とかして抑制する努力は必要でしょう。また、身を削って働かなくてはいけない環境で、医療者の使命感や善意に頼って、病院を運営するのにも限界があるでしょう。公立病院が潰れていっているのは、私には、必然のような気がしてなりません。

医師の方からの本音の意見を書いていただき、ありがとうございます。
産婦人科医ですか...。私のような素人には想像もつきませんが、書いておられるようなキツイ労働環境なんでしょうね。
お話を読んで思い出しました。これは医療の話ではないのですが、少し前に中学校の学校選択制度の記事を書いた際に、選択制度を導入した東京のある学区に、近接する中学が5つもあることが分かりました。生徒数から計ると明らかな過剰なのですが、選択制度に反対する論調の中では、その点に触れた人がいませんでした。
少子化はもちろん、全体的な医師数の減少などの経済に影響する要因は、ある程度予測できることなのではないでしょうか? にもかかわらず、自治体も国もわずかな「成長」にこだわって、将来の危機に無為無策で来たこの10年程の結果が、今いろんな弱い立場の人達へのしわ寄せとなって現れているように思えてなりません。

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