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2008-09-02

それにしても長い米大統領選

最近またアメリカの大統領選挙のニュースが増えている。両陣営の候補が正式に決まって、さあ一揆打ちという状態になってきたから当然。日本人の目か ら見ると、候補者の政策どうのという前に、その選挙期間の長さに驚く。少なくとも僕はそこに目がいく。 ふと、この選挙期間の長さをキーに、日本とアメリカの違いに考え込む。

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こ んなに長い間戦うと、それに同じ党の中で指名争いなんか続いてきたわけだし、候補者も疲れないのかい?有権者も飽きたりしないのかい? でも、案外ああして長い戦いの中で、情勢が変わっていったりして、そのせいで、それぞれの候補者の長所短所も見えたりして、有権者もその分冷静に候補を見 るようになる。日本の小泉劇場の頃のように、実態もよく考えずに、表面的な人気やアグレッシブな言説だけで支持が増えるよりずっといいかもしんない。

それに何といっても、長い戦いの中で、候補者自身が鍛えられていくのが見える。マケインにしてもオバマにしても、名前が上がった頃の彼らとは明らか醸し出す雰囲気が違ってきている。それは候補指名から落ちたヒラリーですらそうだ。人種問題にからんで、ヒラリーは、言ってはならないことを言ってしまった。「オバマは人種の垣根を越えよう と説いているが、実際は非常に狭い黒人コミュニティの代表にすぎない」と。これは猛烈な反発を招いたけど、その底には、ヒラリーが 焦っていたというほかに、両者の支持層の違いがあるとか。

不思議なことに、オバマは黒人の人口の多い地域で負けている。ヒラリーの支持層は、比較的教育水準の低い白人労働者や女性。一方オバマは、若者、知 識人、所得水準の高い人に支持されている。もちろん黒人にも支持されてはいるけれど、状況はそう単純ではないらしい。黒人が少ない州では黒人への恐怖感も 少ない。そうした地域では、知識人層や若者や金持ちを中心に、オバマを素晴らしい候補者と見る傾向があると言う。逆にニューヨークなどのハーレム近くに住 んでいる白人は、所得も教育水準も低く、かつ近隣の黒人を怖がっている。そこには白人庶民に受けの良いヒラリーの支持層がいて、ヒラリーの問題発言は、短 期決戦で、そんな自分への支持層の心理に訴えかける作戦だったというのだ。

その問題発言から起きたブーイングが、ヒラリーを再び悩ませ考えさせた。しかし一方で、ヒラリーの発言は内容は問題だが一定の支持層に響いたのも 事実。それが今度はオバマを、このままではいけないと、より広い有権者層に目を向けさせた。オバマは、ヒラリーの支持基盤であったヒスパ ニックにも目を向けるようになった。ヒラリーはテキサスとカリフォルニアで勝ったが、両州にはアメリカのヒスパニックの半分が住んでいる。 1990年から去年までヒスパニックの人口は2倍になった。サブプライム問題の被害者層の多くもヒスパニックである。今のアメリカのマイノリティは、黒人 ではなく、ヒスパニックになっているとか。

オバマはインターネットもうまく使っている。これは当然若者層の支持に有効。日本では、このあたりが政策側の意識がかなり遅れていて、選挙戦でネッ トを使う際の制限があまりに多い。ネットを有効に使うことで、候補者と有権者の距離が縮まり、対話も生まれる。もちろんセキュリティーやアクセス量の問題 があるので、一筋縄ではいかないだろうが、有権者は候補者をより詳しく知ることができ、それが良くも悪くも政治への関心を高める。もちろん対話を通じて候 補者も鍛えられる。

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別にアメリカの選挙方法を絶賛する気はないが、振り返って日本を見た時、唖然とするほどの違いを感じるのは私だけでしょうか? 問題はネットに限らない。長い選挙での様々な対話のあるなしが、日本とアメリカの大きな違いを見せてはいないか。

対話とは直接するだけのものではないだろう。長い選挙戦の中で、ネットで叩かれたり、ある層には支持されたり、ある層には支持されなかったり、熱狂 的に迎えられるかと思えば、情勢が変化して経済政策や外交に弱さが見えたり、そうして長い選挙を通じて、いろんな出来事の中で、候補者も、有権者も、見 て、見られて、そうして変わっていく。その道のりの質の違いが、確かにお金はやたらとかかるにしても、日本とアメリカの決定的な違いを今見せつけているよ うに思う。

選挙が近付くと日本の政治家の視線は、地元の支持基盤や比例代表の名簿のどのあたりに自分が載るかということに集中するようだ。支持基盤と言っても、対象は地元の役所や企業の名士や大手企業の組合役員であって、実際に地元の一般庶民に目が向いているわけではない。比例代表名簿の順番が気になる場合は、もっとひどくて、要は自分の所属政党の偉いさんの顔色が気になるのだろう。国民不在なんて今に始まったこっちゃないが、選挙が近付くと一層国民不在なのである。

たしかにアメリカの大統領選挙が長いことには、問題もある。その間政党をあげて選挙を闘っているので、現実の政治の実行力を奪うような影響もあるのは間違いない。やるべき施策がのびのびになっていくのではないかという批判も当然あるだろう。だから単純に絶賛するのはバカげている。ただ、そこには日本の政治と違った競争があり、見た目からどれほどかはわからないが、まあ多少でも日本よりはましな自国民との対話もありそうだ。選挙が長いからボロが出る確立も高く、出たら影響は大きい。

その点、日本の政治家には競争がない。まあ日本の現状で選挙期間だけ長くしてもろくなことはない。しかし、比例代表にしたって政党名に投票するって言うが、政党間の違いを浮き立たせるようなまともな政策論争など、もっとTVとかでガンガンやってるだろうか? また、少なくとも首相の選別を政党党首の選挙に準じる今のシステムや、競争相手のいない小選挙区制などは、見直さないと政治がやる気のない腐ったシステムになるのを進めているだけに思える。

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