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2008-12-22

住居も身分証明もない生活とは想像を絶する

ニュースで毎日流れているが、工場の寮を追われ野宿生活に追い込まれたり、住所不定から企業の信用を得られず次の派遣先が決まらないといった悪循環に陥る事態が深刻化している。

こういう大企業の派遣・非正規雇用労働者切りに対して、独自に援助しようという取組みが各所で見られるようになってきた。どこの地方の話だったか忘れたが、あるネット喫茶の主人が、自分の店でよければ履歴書に書ける程度の住所保証をしようと提案していた。このさい後で住所がネット喫茶だとばれても、住所不定よりだいぶマシじゃないのか。ただしそういう取組みをしようとしても、おそらく行政手続き上いろんな壁があるだろうが、自分にできそうなことで援助しようという人の良心は貴重だ。他にも、いくつかの中小企業が、あくまで期間制限という形であれ、そういった解雇にあった人達への求人をしたり、自治体が臨時職員としてそういった人達を雇いいれたり、考えてみればそれぞれの立場でやれることはあるじゃないかと思えてくる。国に比べると、小さな企業や地方の弱小自治体のほうが動きがはやく、変な言い方だが人の心もまだまだ捨てたもんじゃないと。

 杵築市は、緊急雇用等対策本部を開き、来年3月までに28人の臨時職員を雇うことを決定。道路の維持管理などで、雇用期間は10日から1カ月ま で。早い職場では19日から面接を始め、22日にも配属される。....

こういう失業者対策を、わずか数十人程度じゃ実効性がなく、「やったふり」をしているだけだと批判する埼玉県の上田清司知事のような人も居るようだが、たとえそれが正論であっても、何もしないよりマシと思う。解雇された本人たちは明日の食事もままならないのであるから、もはや政治家の高みから雇用対策の「効率」を云々している余裕はない。大分は地域自治体の首長などが、大分キヤノンと自治体との関係を考えて、「企業誘致した我々にも責任がある」と考えているようだ。

30才で臨時工を解雇され路上生活をする男性の生活をTVで取材していた。夜は多少暖かいから駅の構内で寝るという。3日ほど食べていない。保険や自動車免許のような身分保証するものがない。プリぺイド携帯で日雇いの仕事をさがす毎日。100円ランドリーに行く。下着は4〜5日ぶり、上着はもっと久しぶり、ズボンに至っては数ヵ月ぶりで洗うのだという。背も高く見た目もいいので、画面からは一見ホームレスには見えなかったが。

それにしても、住居も身分証明もない生活とは、私などには想像を絶するものだ。特に住居がないということは、再就職する上でかなりの障害になるだろう。雇う企業の側から考えてみれば、住所の定まらない人を雇用するのはかなり無理がある。

以前にあるエントリで、こういう社会の事態に対して「都市基盤整備公団(UR)」などの公営(半公営)住宅は何かできないのかと書いた。ここにきてようやく、それに似た発想の動きが出てきている。

先の大分キャノンの問題でも、大分市が緊急雇用対策庁内連絡会議を開き、失業者全般を対象にした市営住宅を月額 5000円で貸すことを決めたようだ。また、豊後高田市は、緊急雇用等総合対策本部をスタートさせ、担当課に相談窓口を設置。有料(月額4500~8200円)で市営 住宅(5戸)を貸すことを決めた。このニュースに関連して、面白いことに、杵築市のアパート経営者数人から「部屋を無償で提供したい」などの申し出が相次いだそうである。

次のは新潟の話。

またこれは埼玉県の話。

さらに冨山。

長崎。

他にもいくつか似たようなニュースがあった。
もちろん入居した人達が、これからも安いとはいえその家賃を払い続けられるのかなど、住宅保証しただけでは終わらない問題はあるだろう。それでも住所が無ければ再就職もできないのだから、それにこの真冬なのだから、先の埼玉県知事のような批判をしている場合ではないのだ。

先日はうちの自治会でURとの交渉があった。分譲側の住民で駐車場の空き待ちの人達がいるので、臨時措置で賃貸側の空き駐車スペースが借り受けられないか、理事たちが交渉してきたのだ。やはり借り手がおらず、5〜8台分とかのまとまったスペースの駐車場が、何カ所か空いていた。無断利用されるのを恐れて、URが鉄製のポールなどでブロックしている箇所があるとか。公団の賃貸住宅を見ていると、やはり近年空き部屋が目立つ。駐車場の空きもおのずと増加している。空き部屋や空き駐車場を遊ばしていても意味は無いだろう。無断利用防止には気がいっても、有効利用は考えないのか? 貧困者救済以前に、URって何かとても商売がヘタ。

上にあげたニュース例の多くは、県営とか市営の住宅である。地方ではあるのかもしれないが、URの話はあまり聞こえてこない。それでも必要な施策であるのは間違いなく、国交省も腰を上げ始めたようだ。

たしかに、この前まで路上生活やどこかの地方の臨時工だった見知らぬ人が、突然近くに住みだしたなどというのは、もとから住んでいる人達にとって不安もあるかもしれないし、近頃は性犯罪者問題もある。でも、それらは何らかの審査というもので、真面目に住居に困っているプアな人達なのかを判断すればよいのではないか。だからこそ行政と公営住宅が連携して手をさしのべよと言ったのだけれど。

いつも思うが、切羽詰まった貧困に「効率」や「法的手続きの困難」などを掲げて反対したり躊躇したりする人達は、たいてい施策を実行する気など最初からなく、若者たちから見れば、自分達を切った大企業の側についているように見えるだろう。

こんな時代なら、失敗を恐れず、後先も考えずに手をさしのべる人達のほうが人間的に上に見える。空き部屋を提供しようと申し出たアパートのおばちゃんのほうが、中央の政治家や天下り先の団体の役員より、人間として率直で良心的に思えてしかたない。

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aBowman

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