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2009-01-27

非正規雇用の増加のそばに「名ばかり正社員」

昨年、東京新聞にこんな記事が載っていた。もちろん僕はネット上で読んだのだが。

  • 正社員…時給750円 ネットカフェ利用者『期待持てず政治と距離』(東京新聞 2008/10/05)

現在この記事へのリンクは消えているが、『「ユニオン」と「労働ニュース」アーカイブ』にコピーが残っている。

酒に酔った人々の嬌声(きょうせい)や笑い声が響く夜のJR大宮駅前。家路を急ぐ人が足早に改札へと向かうなか、印刷会社に勤める男性(52)がインターネットカフェの前に一人たたずんでいた。深夜割引で低料金に切り替わる午後十一時を待っている。
友人と一緒にアパートの一部屋を借りているというこの男性は「たまの息抜きで来るんです」と話す。
「昔は働いたら働いただけ給料が入ってきた。今ではそれは通用しない。何とかしてほしいが、期待は持てない。政治家には憎しみしかわかない」

かつては予定を無理にでも合わせ、投票するようにしていた。しかし政治家の不正が報道されるたび、不信感が募った。「国民のつらさをわかっていない。自分たちのことしか考えていない」。今は政治と距離を置くことで、怒らないようにしているという。

午後十一時すぎ。「まだネットカフェにこれるだけ幸せなのかな」と店内に入っていた。

   □  □

「本当は泊まりたくないんですけどね」。終電を逃した女性会社員(24)がネットカフェの看板を見てつぶやいた。ネットカフェで一夜を明かすのは今年五回目になる。
昨年、給料を時給換算してみた。七百五十円。アルバイト以下だった。「正社員なのに…」。本気で転職を考えたが、わずかな昇給で思いとどまった。
終電を逃した夜も、ホテルに泊まりたかったが、財布の中身を見たら、それはできなかった。
定時に帰ることはめったにない。飲み会や残業で帰宅が遅くなりそうなときは、バッグに着替えを忍ばせる。「いつ泊まることになっても大丈夫なように」だ。同僚とカラオケボックスに泊まることだってあった。

贅沢(ぜいたく)を望んでいるのではない。「布団をかぶって眠りたいですよね」

記事はこのあと、何度も引用された厚生労働省の国民生活基礎調査の数字をあげている。「1997年に23.5%だった年収300万円以下世帯は、2002年に28.2%、07年30.8%と増えている。」「同省労働力調査によると、埼玉を含めた南関東1都3県で、07年の非正規の社員・職員は 518万人で、02年から5年間で84万人増加している。雇用者全体に占める割合は34.2%で、同じく5年間で3.2ポイントも上昇した。」

30代の頃は、忙しくて家に帰れない時、たまにはカプセルホテルに泊まったものだ。もっと遅くなって深夜3時とかに仕事が終わることもあり、朝はすぐ来るし宿泊するにももったいないので、大阪城公園の知る人ぞ知るタクシー仮眠所に行って会社の車で寝たりした。でもあの頃は、いくらがんばっても仕事があり、景気もまあまあだった。今そこまでがんばらなくてもよくなったのは、コンピュータ化が著しく進んだからだ。

そんな昔は、残業で帰れなくなった社員には会社がタクシー代を出してくれた。若手の営業が指名されて、社員を自宅まで送ってくれた。女の子は早めに帰してくれたし、万が一深夜にまで遅くなったら、男性社員のボディーガード付きで帰らせた。私もカプセルホテル代を何度か会社から出してもらった。

今、こんな世の中だが、当時を思い出して一番違うと思うのは、お金や送迎のことだけではない。翌日必ず上司や経営者から「昨夜はごくろうさん。たいへんだったな。」の一言があった。そこまで企業に貢献してくれる社員に対して、すぐには目に見えないが必ず評価が上り、年数を経ればわかる、そこまでいかない者との妥当な差というものが付いていったものだった。

東京新聞の記事を読んだ時、最初に思ったのは、この52才の男性や終電を逃した24才の女性が、そんなに遅くなってまで仕事をしてくれたことを、企業はどこまで知っているのだろうかということだ。

時給七百五十円の正社員とは何だろうか?

深夜労働は、あまりに連続させると月の残業100時間を超えるあたりから心臓が奇妙に痛くなる。深夜帰る時、その痛みがよくわかる。もし朝起きてそれが治らないなら、末期へ向かっていると思った方がよい。

非正規雇用の問題が特に注目されているが、そのそばに増加していく「名ばかり正社員」。店長、課長、責任者、工場長、リーダー、マネージャー....、世の中にいろんな「名ばかり」が蔓延してきている。心臓が痛むほど働いても、以前のように評価されない時代。「会社は今大変な時期だから我慢してくれ」とは言われるが、我慢した後に訪れるものは何も見えてこない。かつて経験があるのだが、倒産間近な企業というものの内部は、働いていても、社内の重い空気が耐え難く、床から不安が足もとへと伝わってくる。落ち着かないが、やけに忙しい。知らない人は知っておいた方がいいだろう。ロウソクの火と同じで、企業の最後はバタバタとめちゃくちゃ忙しいのだ。

ひょっとしたら我慢したあげくに首を切られるのが結末かもしれない。その時も同じことを言われるのだろう。会社は今大変な時期だから我慢してくれと。

詳しいことは書けないが、かつて倒産しかけたある企業で、経営者がある事故に合った。それを目の前で見た社員たちが、誰も経営者を助けなかった。努力しても何も評価されない環境で、働く人の心はどうなっていくだろうか。うつ病になってしまうほどの深刻な事態まで行かずとも、自虐が苦痛で自尊心を保ちたいなら人は他虐になるだろう。

日本の首相は漢字が読めないとか、オバマのりっぱな就任演説に比べてわが国の首相はしょぼい話しかできないとか、TVではそんなくだらない話ばかりしている。そんなマスコミも世論もくだらない、低次元だと批判する評論家の意見は正論だろう。昔の政治家は、今ほどバカにされなかったし、威厳もあった。

でも、そんなに低次元な話で笑っている国民の笑いたくなる気持ち、笑うしかない気持ちにも、政治家はもっと目を向けてはどうか。明日の家計のやりくりも苦しい人々や、ネットカフェに泊まるしかない正社員。みんな首相の不幸がうれしくてたまらないのかもしれない。

あのブッシュの記者会見で見せたイラクの新聞記者のように、庶民はみんな、政治家たち官僚たちに、くつを投げたくてしかたがないのだ!

蓄積された怒りは、いつ爆発するかわからない。

今年こそ爆発せよ!と、近頃は思うようになった。

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