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2009-01-08

「日本の10大新宗教」 島田裕巳(著)

大学に入学が決まったものの、まだ入学式も始まっていなかった時、下宿探しに訪れてバス停で座っていたら、その大学の上級生らしき男性が近寄ってきてこう言う。「すみません。あなたの健康と幸せを願って祈らせて下さいませんか?ほんの数分お時間がいただければいいんです。」突然のことで「はあ??」だったが、おとなしそうな人だったし承諾すると頭の上に手の平をかざしてお祈りしてくれた。いわゆる「真光教」であった。

入学後数年して、下級生にも信者が居たので、どうもその宗教はキャンパスで布教していたようだ。よくまああんな共産党勢力の根強い大学でと思うと、けっこう宗教というのは根性があるかもしんない。

41xk9xbxel_sl160_ この本にはその他様々な日本の新宗教が出てくる。新宗教とは、仏教やキリスト教のような古来存在する宗教ではないが、その影響から発生し、日本の社会の中で一定の地盤を築いたものとしている。ただし、キリスト教系のものとオウムなどのカルト系は除外してある。とは言え、著者が書いているように「全ての宗教は新宗教として社会に登場する」ので、この本に出てくる10種や他の宗派から、もっと影響力の強い宗教に成長していくものが現れないとは言えないだろう。実際いくつかの新宗教は、日本での勢力拡大が停滞しているように見えても、海外で伸びてきているものもあるそうだ。

創価学会に限らず、社会の中で一定の地盤を築いたものというからには、私たちの生活の中で時折目にする宗教であるが、私のような超無宗教人間には、目からウロコの宗教トリビアも満載であった。

例えば、大阪南部では例のやぼったいワールド牧場の高台から、実にすっきりとその聳え立つ姿が拝めるPL教団の不思議な塔は、大阪万博が開かれた1970年にできたもので、太陽の塔と同じ年の誕生だそうだ。オウム事件後に宗教法人法が改正になり、宗教法人は財産目録や収支を役所に提出しなければならなくなったが、PL教団はこれを拒否しているとある。というのも、戦前の教団の歴史に不当な弾圧を受けた経験があるからだそうで、PLといえば花火と高校野球と思っている平和なイメージとは、違った一面があるのだなと。

しかしその高校野球にしてが、だいたい宗教団体がらみの私立高校が多いぐらいは誰もが思っているが、具体的数字をあげられると驚く。学校法人は金がかかるからそうなるんだろう。天理高校とPL学園の2つは言うまでもない。創価高校、立正佼成会の佼成学園、金光教の金光大阪。智辯和歌山と奈良の智辯学園は辯天宗が母体。全国の私立高校の3分の一は経営母体が宗教団体、うち6割りがキリスト教系、3割が仏教系、あとわずかに神道系。新宗教系は20校程度だが、こと高校野球では、キリスト教系の福島聖光学園と仏教系の駒大苫小牧、駒大岩見沢を除き、残りは天理やPLのような新宗教系の圧勝である。

その他この本には、高橋和巳の小説「邪宗門」のモデルとして有名な大本教や先の真光系、天理教、保守勢力の牙城という印象の強い生長の家や立正佼成会など盛り沢山。一言で新宗教と言っても、創価のように排他的で戦闘的なものもあれば、他者をひたすら受け止めようとするものもあり、死後の霊界や葬儀などの儀式に対する関心の度合いも様々、組織の結束も硬軟様々。私のような無宗教者は、新宗教=自己の教義を押し付ける怖い団体みたいな先入観は一度捨て去るべきかと思った。

面白かったのは生長の家で、教祖の著書、聖典、機関紙などを読むことイコール宗教活動、信心と考え、そうした印刷物グッズによる布教を中心に活動していくスタイル。ある意味プロテスタントも同じかもしれないが、このような布教スタイルは教祖が学歴の高い知識人である場合に多く見られるようだ。聖典「生命の実相」を読めば万病が治り、あらゆる危機が避けられるとした生長の家はその先駆者である。最近我が家のポストに時々宣伝パンフレットを入れている幸福の科学も、高価な書籍を買わせて、それを読んだ信者がアトピーが治った、妻がなんたら祈願を読んで祈ったら夫の脳梗塞が治ったなどと書いているので、同系列の手法だろうか。考えてみれば思想的に真反対の日本共産党も、トップが知的エリートで、機関紙を読むこと広めることが勢力を支えるとするのだから、ある意味同じ大衆戦略。共産党もある意味宗教だろうか?と書けば、そうに決まってるさとぶさよ氏に言われそうだが .... 。思い出せば赤旗部数が増えないことへの諦めを口にすれば、事あるごとに「日和見主義」克服を説教されたが、おまえの信心が足りないぞと言われているのと同等かと。

しかし強大な影響を持つ新宗教もある。多くは信者数が漠然としているのが難点だが、中には専用カードで信者をコンピュータ管理している教団もあり、その信者数は共産党の党員よりずっと多かったりする。まあツタヤのネット会員のほうが共産党員数より多い御時世だから宗教に勝てるわけないか(笑)。他に気になるのは、美術など芸術の分野への新宗教の影響。国宝が3つもある熱海のMOA美術館は、世界救世教の建立物。尾形光琳の「紅白梅図屏風」はそこにあるんだよな~。また話には聞いたことがあったが、私がかねてより尊敬する画家、松本竣介は一時生長の家に関わっていたとある。なんか複雑な気分。

創価学会については、手短に感想など述べられない。創価学会と言えば何といっても天敵?日本共産党との確執物語だろうが、残念ながら著者の共産党知識の限界か、あまりその話は出てこない。ただ、最近島田氏は学会関係の著書も連発しておられるので、もっと他の著書も読んでみようという気になった。

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コメント

大学入学後すぐ、私も同じ経験あり。大学近くのミスドの前を通っているときでした。「あなたのために祈らせてください」と若い男性に言われ、「は?」と思いながら、私のために祈ってくれるなんて、うれしい!」と思って、祈ってもらいましたよ。^^
ついでながらミスドでバイトしていた、同じクラスのS君は父親が共産党員で、親に猛反発していたとしったのは、卒業後。1年次のゼミで、世の中、斜めから見た発言し、非協調的で、私はつき合いできなかったな。
そんな心の葛藤を背負っているとは知らなかったんで。
彼、今どうしてるかな。

JGBさん、今年もよろしくお願いします。

我が家は熱心な浄土真宗です。父は毎晩仏壇の前でお経をあげます。

そんな家ですが、私はカトリックの学校に6年間通いました。母校の本部はローマにあって、三十数年前、イタリアが破産するかもしれないと言われた頃、本部からの資金が途絶えて学校の経営も危ないと、教職員やシスターたちが深刻な顔で相談してました。今も母校は健在ですが、当時「信仰を守るのも金次第なのか?」そんな様子を見て、これが大人の世界かと思ったものです。

我が家は浄土真宗ですが、祖母は結婚する前は日蓮宗だったとかで京都の有名なお坊さんが描いた達磨絵が何枚か家に飾ってありましたし、祖父は池田大作の「人間革命」をシリーズで読んでたみたいだし(でも創価学会とは関係なし)、仏壇の隣には神道のお供えが祭られてあったし、「お前の家は節操がない」と言われればそうなのですが、『村坊様』という役目でお通夜や法事の時はお寺の坊様の代わりにお経をあげるという役を祖父とか父がやってましたっけ。

そんなわけで、我が家ではカルトは否定しますが、宗教は大事と言われて育ちました。じゃあお前も信心があるのか?と問われれば今は・・・「いいえ」です。

いろんな宗教をみてきて、私自身は無宗教なのですが、心の中には「自分教」というか私だけの神様がいて、都合のいいときだけ神頼みして、祈ることにしています。人間は弱いところがあるのだから、宗教が必要とされたのでしょう。人それぞれ心の中に神様を持てばいいと思っているのです。

でも、共産党は宗教を否定しますよね。そこがちょっと・・・です。

みなさんこんにちは。今年もよろしく。

え〜と、筍さん。話の中の真光の下級生とは、私と同じゼミでした。たしか就職の相談されたような...。それと、大学には有名な創価学会のカップルが居ましたよネ。ほら女の子が独特な巻き毛で、いつも一緒に歩いていた。近所の方を見ても学会の人達って夫婦仲が良いような気がします。

nanayaさん、明けましておめでとうございます。お体は大丈夫ですか? 年末にびっくりのタイトルだったんで心配してました。
私も妻も超無宗教ですが、妻のいとこがこの前電話してきて、先祖を大事にしろ、お墓を大事にしろと1時間も説教されたそうです。この本によると、創価は先祖供養に他の新宗教ほどこだわらないとあるので、そのいとこは他の宗派なのでしょう。かなりひつこかったようです。
しかしクリスマスと法事が併存できる日本は、まだまだ平和ですよね。中東では宗教で子供を殺している。どうもイスラエルは、かつての自分達の敵にそっくりになっているような...。

JGB様今年宜しく御願い致します。
 西のR大、東のC大と言われる左翼大学ですが、C大も宗教が多かったです。
 特にすごかったのが、滅私奉公型の統一協会でした。
パンの耳食べながら、ガリガリに痩せて珍味売っていました。
後創価も多かったですね。
 でも創価の連中は我社と同じで2世が多かったですね。
その後オウム真理教の拠点校になったそうです。

山村耕作様お久しぶりです。今年もよろしくです。
統一協会ですか。僕は一度天王寺の陸橋で、ミニ黒板に例の「原理」を説いている青年と論争したことがあります。言ってることがイミワカでしたが。
最近ああいう必殺勝共宣教師を見かけませんネw
彼らが売ってたパンダのマスコットの目が気持ち悪くて嫌いでした(爆)

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    音楽、美術、映画、本など趣味的なページはここに移転しました。考えるのが面倒だったので、タイトルは単に2です。

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