「白リン弾」の非人道性
17日にイスラエルは、ハマス武装組織との停戦に入ったと言う。がしかし、実際には、ガザ国境近くにはイスラエル兵が攻撃準備体制で控えている。それにしてもこの停戦、「イスラエル軍がガザから撤退を行うことでオバマ新政権の順調な立ち上がりに寄与する」などというイスラエル政府のコメントは、許し難いものを感じる。
正月明けのニュースで、イスラエルが「白燐彈」を使用した疑いがあると言われた。映像は捉えられているし、イスラエルの報道官も使用自体を否定していないが...。
とりあえずニュースを抜粋する。
- 深まる白リン弾疑惑=民間人被害多数の指摘も−イスラエル (時事通信2009/01/13)
白燐彈は化学兵器とはみなされておらず、禁止する国際条約がないそうだ。イスラエルの言い分はその事に依拠している。しかし煙幕や照明彈として戦場で使用することが主であるため禁止協定がないだけで、民間人に使用することは国際法違反の非人道行為だ。
イスラエルは開きなおっているが、白リン弾は空気中で自動発火し、消火困難。触れると重度のやけどを負うため、 民間人を焼夷する目的の兵器として使用することを禁じた特定通常兵器使用禁止制限条約(CCW)第3議定書に違反すると言われている。国際人権団体ヒュー マン・ライツ・ウオッチは、今月9日と10日にガザ市近郊などで多数の白リン弾が空中でさく裂した様子が確認されたと指摘し、イスラエル軍に人口密集地で の使用をやめるよう求めた。
では、非人道的と言われる「白燐彈」とはどんなものなのか?
日本のニュースだけでは実感が湧かない。YouTubeでググッてみたが、「白リン彈」で検索しても、日本語では日本のTVニュースをまとめたものが主で、いかにわが国では関心がないかということだろうか。
個人ブログのほうがかなりマシである。「kom’s log」というブログで、詳しい解説を見付けた。
白リン(P4)は空気に触れると常温(>摂氏30度)で酸化反応 を開始し自然着火し、白い煙を上げる。
空気に触れた表層部分の燃焼と共に熱で液状になった白リンはどろどろの飛沫になっ て皮膚にまとわりつく。
脂溶性なので水で洗い流すのは困難。
弱火にかけて溶けたラードを体に浴びることを想像すればよい。
より悪いことに、白 リンは体温程度の温度で自然発火する。水をかけることで鎮火するが、乾いた部分から再び自然発火する。
体表面積 の10パーセント以上に白リンによる皮膚の損傷を受けると、火傷が生じた一時間後から低カルシウム血症と高リン血症がみられ、肝機能障害、突然死を引き起 こす。
等々...。
文章で読んだだけでもそら恐ろしい兵器だが、ただやはり言葉では実感しにくいので英語でYouTube検索を続けると、いろいろ見つかった。
Wikipedia の「白燐彈」には化学的な説明があるが、アメリカ陸軍が「白燐彈」の通称として使う「Willy Pete」でYouTube検索しても、同名の変な歯磨き粉のCMが出てくる(これはこれでひどいCMだが...)。先の「kom’s log」では、Wikipediaの説明では「煙の無害性が強調されているのみで、上に説明したような皮膚に付着した際の腐食性を知ることができない」と批判している。
英語で白リンは「White Phosphorus」と言うらしい。軍事関係者は略してWPと呼ぶとか。
この「White Phosphorus」で検索すると,,,,、やはり海外の関心は高い。
短いものだが、実際にガザで使用されたものの映像だろうか。
空中から落とすものだけでなく、戦車から発車するタイプもあるようだ。
こちらが「白リン」を実際に使った実験映像。
自然発火するのがわかる。一たん燃えてドロドロになった状態で、棒でつつくとまた発火する。いつまでもジリジリと燃え続けるようだ。これが雨のように空から降ってくるのである!
水に溶けないので試験管の水の中に沈めて酸素を送ると水中で発火する。口などから人体の中に入ったらどうなるのか、想像すると恐ろしい。燃焼温度は先のブログに書いてあったよりも高く、接点では摂氏2500度以上になる場合があり「骨をも溶かす」といった軍事アナリストの解説もある。
ではこの白リンが「皮膚にまとわりつく」状態で人はどうなるのか?
次の海外のニュースにある被害者の映像を見る限り、どうも日本のTVニュースは残酷なものを隠そうとしているのか、実際の悲惨さを伝えきれていないように思う。包帯にくるまれた人々、顔面のただれた人たちの映像が痛々しい。兵器の真実を知ることで、その悪魔性を捉えることが出来ると思う。
Israel Using White Phosphorus On Lebanese Civilians
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なんて恐ろしい爆弾で、何て住みにくい地球でしょうか。テレビで、花火のように落ちたのが、白リン弾でしょうか。この下に、こんな地獄があったのですね。劣化ウラン弾がガザに落とされたと、ノルウェーの医師がユーチューブで報告したのを聞いても、NHKも、BBCもCNNも報道しませんでした。そんな中で、日本人の医師がガザの病院で治療活動をしている話を聞きました。劣化ウラン弾が落ちているということを報道された後だったのに。この方が、どんな思いでおられることか。NHKは報道してほしい。BBCのハードトークという番組では、駐英イスラエル大使を呼んで、まさにハードな突っ込みトークをしていました。見ましたか。イスラエルは、こんなことをして、イスラエルに親しみを持っていた国でも、もう、態度を変えると言ってきています。ヨルダンも、サウジアラビアも、シリアもなどと、例を三か国、あげていました。NHKの人たちはこの番組を見ていたでしょうか。ハードトークに比べて、NHKの報道の在り方は、政治外交面で弱いと思いませんか。CNNも女性キャスターが、平気で、さらっと何人も言うのです。「ブッシュさんはこれから、どうするんでしょうね。護衛がつかなくなるんですよ。恨みを買っていますからね。狙われないでしょうかとか。」とてもNHKでは言えないし、言うだけの心意気があっても、つぶされるんじゃないでしょうかと思って聞いていました。ちょっと、話は飛んでしまいますが、恨みの心が、諸悪の根源ですね。恨みというものを浄化できるには、人間が輪廻転生する存在だということを、どこかで、知っていく過程を経なければ、この恨みを消すように立ち上がる人類の知恵や力は湧いてこないのではないかと思います。私は、赤ちゃんを見ても、みな白紙では生まれてこないと思っているんです。だから、過去世の経験を持って生まれてきていると思っているんです。憎しみあうと、魂を引き合う力が生まれて、また、次の世界でも、引き合わせると思うのです。だから、憎しみを浄化して、許す心を持たないといけない。また、引き合うからと、自戒していく生き方を、しなくてはいけないと思っています。ガンジーが、死ぬ時、「おお神よ」と言ってさらに、「私は、あなたを許します」といったことを知っていますか。その境地をどうしたら、イスラエルや、ガザの人たちに伝えられるのでしょうか。このガザで治療している日本人の医師に対して、私たちは、どのように行動したらよいでしょうか。教えてください。
投稿: 小松梨津子 | 2009-01-22 19:48
今日は、白リン弾の火の雨にさらされた女性が、全身が燃える苦痛に耐えられず、抱いていた赤ちゃんを、火の海と化した地面に思わず放り出してしまい、赤ちゃんが死んでしまったというTV報道がありました。
小松さんの深い疑問にお答えしようにも、私では勉強不足ですが、日本のマスコミに対しては私も同感です。日本のニュース番組には主張が無く、いろんな分野をまんべんなくカバーするために、重要な問題に対するツッコミが浅くなる。結果どの番組も似たりよったりですね。海外で人道支援などに活躍されている方たちについても、取り上げられるのは、この前の赤羽桂子さんのように何か問題が起きた時。オバマのTシャツで町おこしにはしゃぐ平和な日本人、世界で起きていることを知らない日本人を、マスコミも作っていると思います。
それに比べて、ガザで医療活動をしておられる桑山紀彦医師のような方たちの証言は、貴重です。敵の爆撃を避けるため、患者を死なせないために、140Kmで走るガザの救急車。そんな世界に命がけで生きる人達と我々の生活との間に、何という差異があることでしょうか。
投稿: JGB@管理人 | 2009-01-22 23:05
●上記は、東富士演習場です。まさかと思うでしょうが、米軍が白リン弾を投下して演習しているのです。沖縄の海兵隊基地キャンプハンセンで行われていた「訓練104」が自衛隊東富士基地に移転され、今年300日行われました。東富士演習場は、御殿場にあり、最短地点が、箱根から10キロあまり、湯本から20キロ、小田原城から22キロ、伊豆からも22キロから始まっている広大な東富士演習場です。
●この映像は、NHKの「安保50年シリーズ(全部で4回)の第一回『隠された米軍』、(再放送が12月26日深夜日曜の夜中の0時40分から翌日の1時40分でした))の最初から5分と終わりの10分頃に、また、第3回「同盟への道・日米安保から日米同盟へ」(再放送が1月4日深夜0時15分から翌日の1時13分)の終わり10分頃にも出て来ました。
●白リン弾がどれ程恐ろしい爆弾で在るのかは、ネットで「白リン弾の非人道性」をクリックして、さらにその中の映像の上をクリックして見てください。水の中でも酸素を送れば発火する映像。人体に付着すれば、一度消しても再び酸素に触れると発火する映像。戦場被災者で白リン弾を付着した者は、包帯でぐるぐる巻きにし、酸素に触れないようにしている映像もあります。また、白リン弾の微粒子を吸いこむと呼吸のたびに体内が2500度とも5000度とも言われている温度で燃焼するのです。非人道的兵器で国際的な禁止運動が高まっています。
●2010年3月20日、東富士演習場で「野焼き」を地権者の組合400人と自衛隊員700人の計1100人が3月20日行い、32歳と33歳と37歳の自主防災組織の男性達3人が火に巻かれて亡くなりました。白リン弾が米軍によって落とされたまま回収をしていないこの危険な地域に住民を入れて5人1組で火をつけて回らせ、自衛隊は後方支援にまわったなんて、おかしいです。白リン弾の危険性を一番良く知っているはずの米軍は、何故回収をしないのだ。もう富士山を米軍に貸すことはやめさせよう。基地を撤去すべきです。ススキが綺麗だと東富士演習場に入って写真を撮ることを進めているブログも在るくらいだから多くの人にこの爆弾の危険性を伝えて行きましょう。
投稿: 小松梨津子 | 2011-01-08 00:55