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2009-02-01

派遣労働とりんご農園の関係

いつもわざわざ言うまでもない当り前のことをヘラっと喋る解説者がうざくて、平日9時という時間帯にも関わらずあまり見ないNHKのニュース。しかし、先日たまたま見てしまったある農園主の話は少し考えさせられた。

名前を忘れたので仮にAさんとしておく。Aさんは青森でりんご農園を営んでいた。TVに映った農園の見た目はけっこう広く、植えられた木の数もかなりに見えた。一見りんごで財を成している方かと思った。しかし現実は厳しく、りんご栽培だけで手にする年収は300万程度だという。見た目と違い、やはり本業だけでは食べていけない日本の平均的農家。まず我々都会の人間からすれば、こんなに農園があってその程度とは、何と日本の農業政策はひどいものかと。

純利300万では家族で細々と食べてはいけようが、何の贅沢もできまい。しかし問題は贅沢以前に農園自体の維持費である。肥料、農薬、農機具、収穫季のアルバイト代...などなどが何も用意できないだろう。そこでAさんは、機械部品のメーカーだったか何だったか忘れたが、たまたま近くにあった企業の工場の派遣社員をすることにした。ちょうど農閑期に当てはまる期間工で、りんご栽培と両立できた。Aさんは典型的な兼業農家になったのである。

今まで、良かった時期でその派遣工の給料は最高37万程度、悪い時でも30万足らずはあった。その金を貯金して農園の維持費に充てた。おかげで本業のりんごも何とか続けられた。企業側もAさんのような農園経営者に都合のいい雇用形態で求人していたのだから、青森の田舎の生活パターンに合わせて足りない人手を賄っていた。お互いに共存できていたのだ。

しかしつい最近派遣切りにあった。

Aさんはしかたなく、地元のハローワークに出かけた。年齢は50才代。青森の地元の大企業は、不況のおり工場休業・閉鎖などで撤退しているという。ハローワークで行われた企 業説明会は閑散としていた。Aさんの年齢の求人は皆無。農園との兼業では他府県にまで出張しての労働はできない。家族には農園を任せられるほどの人手もな いので、出稼ぎというわけにもいかず、また出稼ぎ先の仕事も不況で皆無。

農機具代などを賄うために貯金を崩しているという。このままではあと2年ほどで、りんご農園は閉鎖しなければならなくなる。

まず国の農業援助の貧しさが腹立たしいが、一方で、派遣がこのような農家の本業を支える一助になってきたということに複雑な思いがする。

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