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2009-04-12

NHKは何がしたいの?

NHKスペシャルについて書いた先日の記事、戦時下の日本の台湾統治についての番組だったけれど、ネットでこの放送への批判がかなり起きている。これだけ批判があっても、NHKは当然のように無視している様子、民放でもこのことについて話題にした番組は、(私の知るかぎり)皆無。インターネットでの世論と、TV等の旧型マスコミの違いが今回も歴然としたと思えた。

インターネットでの世論と書いたけれど、これを世論と呼んでいいかどうかは諸説あるだろう。ただ、いろんなブログの記事を読んでみた感触、いつもの右翼が騒いでいるといった現象とはかなり違う。

自分の記事は、とりあえず放送された内容の要点を書いて、後半で自分なりに感じた疑問や放送内容の一面性を、どちらかと言えば控えめに述べたにすぎない。それでも、そんなとるに足りない記事に翌日からけっこう普段と違うアクセス数があった。

ああいう番組にネトウヨな人達が怒るのは予想できること。しかし今回ネットで起きた批判意見は、明らかに偏った意見だけではない、むしろ良識から発せられたものが多かった。例えば(鍼灸院を経営されているのかな?詳細不明だが)台湾に何度も行っていて、向こうの人達と交流が深いと思われる人の意見(院長ブログ)。不勉強な私はよく知らなかったが、あの番組に出ていた柯徳三さんは、日本語で本を書いておられるそうだ。時間があればぜひ読んでみようと思った(「母国は日本、祖国は台湾—或る日本語族台湾人の告白」)。

ネットで検索していると、この柯徳三さんが番組の偏った編集に抗議していることを知った。

柯徳三氏曰く

 私は日本による五十年間の台湾統治はプラス面が五〇%でマイナス面が五〇%と考える。NHKの取材を受け、インフラや教育のよさを語ったのだが、番組は全然取り上げなかった。

  日本による差別待遇など、欠点への怨み事ばかりを取り上げ、あたかも台湾人が朝鮮人と同じく排日だとの印象を植え付けようとしているらしいが、これは心外だ。

  敗戦で日本は台湾を投げ出した。切り離した。しかし償いがなかった。物質的な償いではなく、精神的な償いがだ。マッカーサーの命令により、やむをえなかったことは、台湾人はわかっている。しかし「捨ててすまなかった」とちゃんと言ってくれれば、台湾人は慰められたのだ。

  私は親日でも反日でもない。私にとって日本は養母なのだ。中国から切り離され、日本に養子として拾われたのだから。日本人に差別はされたが、私が今日一人前の医者として活躍できるのは(もう引退はしているが)、日本のおかげだ。
 
NHKには利用された、騙されたという気もしている。日本に対するネガティブな印象のところだけ取り上げられた。

...等々

こういう意見が、日本軍は侵略しなかったなどと言う人達と全く違うのは一読瞭然。柯徳三さん同様、院長ブログの人も書いているが「日本の台湾統治には明と暗があって、客観的にみてもまあその割合は5分5分です」とある。問題はNHKの放送の取り上げ方、まとめ方。私も書いたけれど、まず日本の台湾統治がもたらした負の側面だけではなく、プラス面も見なければ、戦後の台湾の経済的発展は理解できないということ。そのプラス面を実際の台湾の人達が評価しているということが重要なポイントでしょう。大陸中国との国交回復と中国の経済発展の中で、経済的にはあれだけ協力友好関係にあった台湾に対して、今の日本政府は、台湾を対等な独立国として承認する点で問題がありすぎる。中共におもねるあまり、そこの問題を軽く考えすぎているのではないか。

知合いの共産党員は、やはりそこはそれ、戦前の軍国主義は客観的史実による批判よりも心情的批判から入る彼らだから、今回の番組内容を素直に受け止めているようである。私はと言えば、ある方がコメントに書いておられたように、台湾統治の正と負の両面を見なければ、本当のことが見えないと思うので、単純にNHKは腐れ左翼の自虐史観だという面ばかりを強調するムキにも同調しない。

ただこの前書き残したが、あの番組を見ていて驚いたことが一つある。戦前の台湾人に対する同化政策の紹介に出てきた、台湾の子供たちがそろばんを習う様子である。先生から出された計算問題について、ある台湾人の子供が答える。戦時用に使われていたであろう兵士の服装に似た学生服。すっと立上り、ピンと背筋を伸ばして「何千何百何十円なり」と、信じられないほどハキハキした返答。素晴しい日本語。どこから見ても戦争中の日本の子供と変わりない。驚くべき日本の教育である。

あれを文明教育と評価するか、洗脳と捉えるかは様々意見の分かれるところであろう。たしかに日本軍も戦地では酷いことをたくさんやってきた。ナチスや今の中国がやったことと変わりないと見える史実があるのは事実。しかし一方で、本質的にそれらと違う日本の占領政策の特徴も見えたと感じたのである。そのことを、番組が偏向しているにもかかわらず、映像の中の"そろばん少年"は示していたと思った。

たしかに、日本人は一等国民、沖縄人は二等国民、台湾人は三等国民といった階層差別をしたかもしれない。ただ三等国民だからといって経済活動から締め出したわけでもない。台湾人をゲットーに集めて順番にガス室送りにしたわけでもない。道教寺院を破壊したといっても、電気棒で拷問して宗派変えを迫ったわけでもないのである。日本人に従え、日本人になれという教育は、人の能力を引き出したプラス面も大きく、単純に人権弾圧を語ればすむようなものでは無いのだろう。

そもそも「JAPANデビュー」というタイトルのあの番組は何がテーマなのだろう。ここんとこ経済的には陰り状態が続く日本が、かつて世界の中で大国の仲間入りをしていった背景に何があったのか。そのことに視点を当てるのはいいけれど、それが今の閉塞状況を打破できる何らかのヒントにつながらなければ意味が無い。また何らかのヒントといっても、また前の「プロジェクトX」の焼直しみたく、物作り日本云々で終わっていては、今の時代の課題提起には全くならないだろう。

話は一見飛ぶが、G20では、ヨーロッパ各国にも大幅な財政出動、景気刺激策をアメリカが要請したことに対して、フランスやドイツが今必要なのは金融規制だと対立した。日本はここでも米に尻尾をふって、大幅な景気刺激策が必要といった姿勢を貫いた。麻生首相がドイツのメルケル首相を「わかっていない」と批判したことに、メルケルおばさんが不快感を示したといった一幕もあった。あるTVニュースでは、穏健な保守派と言われる寺島実郎が、この対米従属な日本政府の態度を一喝。欧州は米に言われるまでもなく、すでに日本よりずっと大規模な財政出動をしてきたから、米に同調できないのは当然だ。いいかげんアメリカと同じことを言っていれば安心といった態度を捨てて、グローバルな視点で日本にできること、他国も共感できることを独自な視点で考えろと批判していた。

この寺島実郎の批判を、たかがNHKの番組制作に向けるのももったいないが、これから日本が不況から脱していくためには、少なくとも例えばユーロのように、アジア全体の経済的協力や発展といった視野でものを考えていかなければ、意味のある意見は見えてこないだろう。その意味では、チベットやウイグルの人権問題では中共を徹底的に批判するべきにしろ、経済的提携ということでは中国バッシングをすればいいというものでも無いはず。

ましてや台湾なのである! 台湾経済の発展なしに、日本がこれから生きていけるなどと考えられるはずもないと思うのだけれど。

そう考えると、今回のNHKの台湾統治の取り上げ方は、そこに一面の史実があったとしても、番組そのものの短絡性は批判されてもしかたないのではないかと思う。視聴料批判の頃、国民の目線で国民が求めている番組を作っていきたいと自己批判したはずである。実際の姿勢は、世論に耳をかたむけるでもなく、見解のバランスをとるでもなく、未来指向で建設的な問題提起を含むわけでもないのが実状のようだ。

今回のネットでの番組批判はけっこうすごかった。これだけ批判されれば、さすがにNHKの言うことを鵜呑みにする人は少数だろうし、逆に影響が薄いかとも思え、つい笑ってしまった。しかし新聞にしろTVにしろ衰退が言われる中で、これだけ視聴者との目線の違いがはっきり露呈してくると、よほど考えない限り生き残れないのではないだろうか。

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コメント

この番組は本当にひどかった。

自分が支払った受信料でこんな番組が作られたと思うと、許せない気持ちになります。

この問題をブログで取り上げてくださってうれしいです。

特に親日的な台湾の方たちが、非常に違和感を感じたようですね。柯徳三さんは「NHKのバックには中共がいるのか?」とまで言われたそうですが、NHKはかつて中国大使館から脅迫されていたというウワサもあったぐらいなので、笑えない話しですね。

うつらうつらしながら番組を見ていましたので、NHKの変更編集までは見抜けませんでした。
日本軍の支配から民政の支配というのに踏み込んで番組を作るは難しそうだなと、、

NHKの右傾化からの脱却から何年かな、今度は右往左往かな、小沢政治資金問題の報道の仕方とかを見ると、NHKがやらせの朝日化して来ているのではないかとも見えます。
当然、中国共産党の対日政策、露骨なマスコミ干渉というものが有るでしょう。共産党国家の性格として必ず、社会帝国主義という方向が出て来る。台湾の現体制維持をお祈りするのみです。

千島から日本列島、沖縄琉球、台湾という地形は凄味があるかもな。ロシア、北朝鮮、中国を封じ込めてる地形に見える。
うまく書けませんが北朝鮮のテポドンよりも、中距離ミサイルというのが恐怖に成りそう、、

NHKと岩波は、最近しだいに左ブレが進んでいるような気がします。

北朝鮮のノドンも問題ですね。でも中共から露骨にミサイルの照準向けられている台湾の人達って、やっぱり平和ボケの日本人とは違うように思うのですが...。

本日発売の週刊新潮に4ページに渡り特集記事が出ています。
これをきっかけに、この番組の偏向ぶりが一人でも多くの人に伝わる事を願います。

歴史歪曲と「台湾人」も激怒したNHK「超偏向」番組
http://www.shinchosha.co.jp/shukanshincho/newest/

今まではマスコミとか教育が情報源を握っていて、思想や世論を誘導したり作ることができたわけです。洗脳とまではいわないけれども、特に団塊の世代前後の人たちまで、そういう影響を受けていますね。

そしてその世代の人がまだ社会でまだ実権を握っていて、大学の教壇に立ったり新聞の論説を書いたりしているわけです。今回のNHKの番組もそういう人が作ったのでしょうね。

でも、インターネットの時代になって、一般の人でも一次情報に接することができるようになって、マスコミの洗脳が効かなくなってきています。それで批判がおきているわけです、

そしてマスコミの影響から比較的自由になった若い人たちが、旧世代の人たちからネットウヨクなどと呼ばれているのでしょうね。

確かに「ウェブはバカと暇人のもの」という面があるので、全てを鵜呑みにはできませんね。ただインターネットの登場以来、政府や特定組織やマスコミの流していた情報の偏りが、以前より目に見えてきた感があります。

僕はネットが、古典的左翼を死滅に向かわせる大きな力になっていくと思います。

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