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2010-06-13

「たとえ小泉政権が無かったとしても、郵政民営化は時代の必然だった」By高橋洋一氏

国民新党の両院議員総会って、どこかのマンションの小部屋みたいなとこでやるんですね。

亀ちゃんが辞めたそうですが何か?
大臣辞めるだけじゃなく「男の美学」(笑)とかで連立離脱まですべきと言ったそうですが、連立続行したい他の議員が説得に困り果て、最後に相談したのが全国郵便局長会の会長って、何ですか? 利権団体としての国民新党の面目躍如。郵政関連法案、否、郵政逆行化法案が通れば、もう存在しなくてもいい政党なんでしょうね。

今TVの政治討論では、枝野幸男新幹事長と野党が喧喧囂囂やってます。普天間問題で最近怒り前面のみんなの党江田憲司師匠が猛反論中ですが、議題は郵政問題に。江田氏のとなりに座る共産党市田書記局長も語ってますw 「小泉改革で郵政という国民の財産が企業に切り売りされた。きちんと公的機関の機能に戻して、グローバルサービスとして再出発すべきだ」まあ相変わらずの共産党。でも今日はきちんと発言時間もらってますね。穀田恵二より市田のほうがTV での扱い多少ましなの?でもやっぱり発言内容は基本無視されてますが ...。

共産のような意見を聞いていると彼らは「郵政問題は郵便局の問題」と捉えているように聞こえます。はたしてそうでしょうか?

ただこの点はマスコミにも責任があって、たしかにTVなどは「郵便局の問題」として郵政民営化問題を流してきた面が強かった。本質的な問題を堀下げず、僻地のサービスが無くなるとか、非正規職員が切り捨てられるとか心情的に入りやすい話に焦点を当てたので、国民の中に誤解を広めた。でもそういう浅い捉え方で済ましていた点は、数年前の私もけっして例外ではありません。05年頃、民営化に絶対反対などと単純には考えなかったけれど、国税の流れの問題という本質が見えていたかというと、えらそなことは言えません。でもしだいに考えも変わってきました。

普天間問題での江田憲司氏の意見もそうですが、特定の政策は、立案時期の当事者の意見を聞くことがまず基本資料を理解する意味で重要です。何でもかでも「小泉改革=新自由主義者=市場原理主義者」では、共産党員のような頭脳硬直になってしまう。

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で、郵政民営化ではこの人、高橋洋一氏の新刊が激参考になります(光文社新書「日本の大問題が面白いほど解ける本」)

まあ正直、題名何とかならんかったのかw & これだけの人がついこの前まで変な事件で逮捕されたり、いったい何だったのか? それに書店に行くと、勝間と宮崎哲弥らのイマイチな「経済」本は平積みされてるのに、この高橋氏の新刊は手に入りにくいのもどうしてなのか??いろいろ世の中への疑問を喚起してくれる高橋洋一氏。言わずと知れた元大蔵省(現・財務省)官僚です。

P113のこのフレーズが象徴的でしょう。「たとえ小泉政権がなかったとしても、郵政には民営化しか道が無かった

ポイントを拾ってみます。

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郵政民営化の本質は、財政投融資のあり方に対する見直し

発端は自民党橋本龍太郎内閣よりも以前に遡る。当時郵政省管轄の郵貯に預けられた多額の預金や、厚生省管轄の年金積立金は、財政投融資に流用できる資金として大蔵省理財局が一括管理運営していた。管轄の違う資金をも大蔵省が一括管理していたことで、省の中の省である大蔵省の権限がいかに大きかったかということと、ここに年金積立金までが関連することに関心が行く。今日国民が関心を抱く大きな問題の根っこがあるわけだが、とりあえず郵政が問題。

郵便貯金から預託という形で大蔵省に預けられた資金には、市場金利より高額で有利な金利が付いていた。それを大蔵省は、やはり市場より高い金利で特殊法人などへ貸し出し、高速道路や空港の建設などの公共事業に投資されてきた。

公共事業が国民生活のインフラを築いた高度成長期は、この制度にも一定の意味はあった。しかし公共事業に官製談合や癒着、無駄がはびこり、特殊法人などが天下りの温床になるにつれ、財投にジャブジャブの資金提供できるこの「郵政->大蔵->特殊法人」の資金環流システムは問題にならざる得なくなった。さらに世界の金融が自由化へ向かう中で、大蔵省の資金運営も困難になる(当時、高橋氏らがリスク回避のシステムをつくったなどの経過は上記本を読んで下さい)。

郵政に税金が環流する分かり難いシステム

郵政に市場金利を上回る金利が払われていたことで、必然的に特殊法人などへの貸し出し金利が高いことが、しだいに法人事業への足枷になる。ここで赤字になった法人が完全民間企業だったら、自分たちで赤字補填するだろうが、実際には大蔵省が赤字補填の補助金を税金から払いカバーしていた。その特殊法人への年間3兆円の補助金のうち1兆円は貸し出し金利の赤字補填目的の支出であったというから驚きだ。

この補助金は特殊法人に吸い取られただけでなく、金利支払いという形で結果的に郵政省サイドに環流していく。この非常に分かりにくい仕組みによって、結果的に国民の税金が郵政サイドに吸収されていたことになる。直接の税金補填ではなく、国民の郵便貯金への金利支払いという大義名分に隠れた巧妙な環流の仕組みなので批判が起きにくかったという面もあるだろう。しかし郵便局で貯金している人は皆知っているように、年間数兆円の高額金利益が預金者に還元されていたなんてメリット感は全く無い。流れていった先は郵政関連団体だった。

強大な関連団体の利権

郵政にかぎったことではないが、官業の下には公益法人などがたっぷり群がる。郵貯ファミリーでは関連団体200社。膨大な取引量を誇るこうした団体が、2000人にのぼる天下りの受入先でもある。

財投によって郵政に環流していた資金が民営化によって断ち切られたので、これら郵政関連団体は民間企業と同じようにリスクを背負って自主運営していくしかないが、国が大株主の今のような中途半端な段階で官営に戻せば、赤字補填に多額の税金を投入するしか無い。郵政民営化とはこの非効率と税金のムダにどこかで楔を打とうとした試みだった。逆に民営化に反対する人達にとっては、年間最低1兆円は確実に自分達に環流してくる税の流れを取り返し、元通りに甘い汁を吸える仕組みに戻したいということだ。

要するに今の亀井大臣辞任劇などをめぐる周辺は、郵政民営化憎しな人達の利権が渦巻いている。預け入れ限度を引き上げ、集まった金で郵政関連の赤字経営を立て直すと言うけれど、本当のところは何に使われるのだろうか?国民の目を誤魔化してでも何とか民営化以前の形に戻し、自分たちの飯の種を確保したい、そういう次元のエグイ話を、国民新党などは「国民の悲願」などと言う。「郵政民営化は間違っていた」なんて、大多数の国民世論が言ってるなど聞いたこともない。「郵便局?便利であればいいじゃないか」といった感じで、本質的な奥の話はあまり知らされていないというのが実態じゃないか。亀井氏の言う「国民」とは郵政関係者のことにすぎないのだろう。党運営を全国郵便局長会会長に相談するのがどういうことなのか、こういう本質を読めばよく分かるというもの。

郵政社長の件や「かんぽの宿」問題の茶番

民営化立案に関わった人物がオーナーの企業(オリックス)に売るから怪しいとか、多額の税金をつぎこんだ箱物を二束三文で売るとは何事かとかいろいろ批判する意見もあったが、もともとの箱物の金額を利権者が自分たちの利益目当てでつり上げておいて、それと比較して安過ぎるからといっても、販売価格は市場の適正な評価でなされたそうだ。売却しなければ年間40億の赤字が続くのだから、しないわけにいかなかったはず。

高橋氏によれば、せっかく経営改善の芽が見え始めていたのに西川善文氏らを悪者にして、今日本郵政社長に座った斉藤次郎氏は「影響力の無い過去の人=もう官僚じゃない」ではなくて、バリバリの財務省保守本流な元官僚(稲垣光隆財務省主計局次長は斉藤氏の女婿)

斉藤次郎氏と亀井静香はマスコミで言われていたほどのつながりはなく、斉藤氏を郵政社長に押したのは他でもない小沢一郎。民主党の「脱官僚」というマニフェストが笑えてくる話だったわけです。

結論として、今民主党の下で行われている郵政逆行化は、天下り復活、郵貯ファミリー(特殊法人)復活、郵政事業への税金投入復活という「三位一体の復活劇」(P103)であり、斉藤次郎氏への社長交代はその始まりだったということです。

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以上高橋氏の新刊から郵政についてのポイントだけ抜き出してみました。私個人は、自治体には僻地医療など赤字になっても続けるべき公的サービスがあると考えていますので、何でもかんでも民営化すべし論者ではないですが、郵政の根幹にある資金環流問題はやはりメスをいれるべき必然があったと思います。

民間にすれば破綻のリスクも背負うわけですが、一方で経営努力あればこそ、つぎこまれた補助金の返還なども可能なわけで、そこは民間銀行の例を見れば明らか。ここはJALの問題なんかにも通じる点。予算が足りないといいながら、郵政逆行法案の先には郵政関連団体への貸し出し金利を免除しろとか、派遣社員を全員正規にしろとか、経営もへったくれもない案件が待っているようです。

公務員改革をする、官僚政治を政治主導に切替える、天下り・税金の無駄使いを無くす、などなどきれいなことは言ってきたけど、結局何もしていない民主党。その民主党が郵政民営化を逆行させる法案を通過させることそのものが、官僚と天下り利権団体の軍門にくだっているということを、もっと認識すべきだと思います。

民主党の中には今の郵政関連改革法案に反対あるいは疑問の人達も居るそうで、菅直人と亀井静香の対立も表面に出てきているのとは違った面があるのかもしれません。多少そういう利権にまみれていない民主党議員にはかすかな期待をしているのですが、国会延長はしないようで、参院選後再会された国会で郵政関連の再審議がどうなるのか非常に注目です。郵政問題は、おそらく国家財政の立て直しという今最も懸案になっている事柄に大きく影響する問題でしょう。

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コメント

高橋洋一氏が、主張する市場原理の拝金主義は世界的に破滅、破綻しました。
郵政民営化も、その内実は、私物化と、利権の山分けでした。民営化論がそもそもの虚妄で、蜃気楼みたいな話でした。危ういところでした。国民の財産がはげたかの餌食になるところでした。早く、郵政民営化を見直すことが大事です。しかし、民主党の新政権は遅いですね。又、先送りしました。加えて、消費税を上げるなどと言っています。困ったことです。今やるべきことは、市場原理主義の政策をやめることです。

もしかして「市場原理の拝金主義」の反対語は「官僚支配の拝金主義」ということでしょうかw
ん〜困ったw どっちの拝金主義がましかな〜??
つーか、そもそも「市場原理主義」の定義って何????

日本も「ハゲタカ」の腕を磨いて、国民の財産を増やすという手もある。

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