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2014-09-07

「慰安婦」問題2 -- 西岡力「よくわかる慰安婦問題」

41l0qz01xal今回朝日の件で再びこの「慰安婦」問題が話題になっていたので、”タイトルに「従軍」の付いていない”西岡力氏のこの本を読んでみました。朝日新聞や共産党の人は西岡氏のような人をきっと右翼の親戚ぐらいに思っているんでしょうが、そんな単純な頭で捉えられる問題ではないでしょうね。

実際書いていることから西岡氏の立ち位置はこう読める。つまり、民族の自決と尊厳を認めない帝国主義の時代に、多くの女性たちが戦地で日本の軍人を相手に売春業に従事せざる得ず、苦痛を受けたことについては遺憾の意と心からの同情を持つべきだ。また、韓国社会の中で貧困から身を売られ売春業に転じざるえなかった女性の人たちが実際に多く居た事実は、歴史上の人権問題として真剣に取り組まなければならない。一方で、だからといって日本軍の権力による組織的な慰安婦強制連行などという事実は無かった。このことを日本は外交的にもきちんと事実を示し、国家間の心理的取引に利用されて国益を損なうようなことを招いてはならないと。

朝日を批判する人たちの良心は誰も「慰安婦問題」が無かったとか、考えないでもいいとか言っていない。その点は、いったん朝日に掲載拒否され後に掲載された記事で「慰安婦と呼ばれた女性たちが居たことは事実です」と書いている池上彰さんも同じです。以下、西岡氏の本やその他の雑誌等に依拠していくつか書きます。

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朝日新聞に限らず、韓国反日派が言うような慰安婦問題に同調する日本の人たちの論点はいくつかあるのでしょう。

ひとつは戦後保障の問題。保守派は、日本の賠償は1966年から75年まで10年かけて払われた日韓基本条約によって解決済みだと主張するが、現実に「慰安婦」だった人たちがけっして恵まれた人生を送れておらず、なんらの保障もされていないのだから解決されていないとする見方です。何も知らないとああそうなのか、あのおばあさんたちは可哀想だなーと思ってしまいますが、しかし事実としての保障金額に眼を向ける必要がある。

1965年当時の日本の外貨準備高は約18億ドル。日韓基本条約で日本から韓国に払われた金額(請求権資金)は無償3億、有償2億の計5億ドルです。かなりの金額だからこそ10年もかけて払われた。この数字どうでしょう、我々の相当な血税がつぎ込まれていると思いませんか!?

当時の韓国の手持ち外貨は1億3000万ドルだから、5億ドルがこの後の韓国の経済発展に大きく寄与したことは疑えないと思います。確かに韓国はこの日本からの5億ドルを自国の経済発展に重点的につぎ込み、戦争被害者(元慰安婦だけでなく例えば日本軍に強制徴用労働をさせられた人たちも含めた)への保障には充分使わなかった事実があるそうです。ただこれはお金の使い道を決める権利があった韓国政府の問題であって韓国の内政のことなので、そこで日本が非難されて「もっと払えよ」とされるのはおかしいでしょう。

もう一つの論点は、軍の強制連行があったか無かったかは本質的な問題では無いとして、「従軍慰安婦問題」を一般的な女性の人権問題の中に位置づけようとする方向です。しかしそこで国家間の謝罪や賠償問題に絡めるのは無理がある。やはり軍の強制連行があったか無かったかは、この問題の本質的な部分と思います。なぜなら強制連行が無いならば、あの時代にはどの国にももともとあった売春制度を日本軍が利用したという問題になるから。

よく問題になる河野談話の中にも、軍による強制があったかのような記述が出てきます。でも起草した当時の官僚曰く、あれはインドネシアでオランダ人の民間人女性を本人の同意も上層部の許可もなく売春させていた一部の軍人ら(兵士5名と民間人4名)の行為を指すものだそうで、その兵士たちは日本軍の内部でも規律違反とされ、連合国によって戦争犯罪人として死刑や懲役刑などで処罰されている。けっして日本軍が強制的に韓国人女性を慰安婦にしたといったことを言っているわけではないとのことです。ただ河野談話では、文章としてそこが明示されていないために誤解を広げる結果になっている。

日本にも昔から売春業があったのは誰でも知ってるけれど、韓国の場合はもっと(今も)社会に根深く存在している売春制度があるとかいう話。アメリカの韓国人社会にある売春業の話も聞きます。比較的朝日新聞に同情派の吉見義明氏が防衛庁の研究所で見つけたとされる、日本軍が積極的に慰安婦の募集に加担していたとかの資料も(実は朝日が利用しただけで吉見教授自身は軍関与の資料としては否定しているとかいう話だが)、いくら調査しても、軍の名前を語って売春業を募集する韓国の民間業者を当時の日本軍が取り締まろうとした資料しか出てこないそうです。実際戦争中に韓国の民間業者が作った「慰安婦大募集」などと書いた張り紙が資料として残っている。1938年頃の東亜日報には朝鮮半島に跋扈する悪徳女衒が女性を騙したり拉致して、満州や上海に売り飛ばしていたといった記事が残っているそうです。

朝日が「初めて元慰安婦名乗りでる」という記事を書いて取り上げた金学順というおばあさんは、実際に子供の頃に貧困のために母親からキーセンとして売り飛ばされたのだそうな。金さんが日本軍のところに行ったのはこのような韓国の売春業者の仲介でということらしい。そして事実として当時の売春業で慰安婦に渡された金額は兵士よりもずっと高額だったから、そのおかげで家族も養えたといった話があっても少しもおかしくなかったのでしょう。

日本軍に限らず軍隊というものは遠征先で民間の女性をレイプなどしたら、そこの現地の人たちから総スカンを食らう。反感を買って水面下でゲリラ活動でもされたら作戦上大きな痛手だからそうしたことは避けたい。ところが現場の兵士が性欲と戦場の過酷なストレスからそうした暴行に走る危険性は常にある。また性病などが兵士間で蔓延でもしたらそれこそ軍隊そのものの死滅問題になる。その点、日常的に性病検査もしているプロの売春制度を軍が利用することは十分あり得る話です。

だから現実的に想像すればリアルだと思う。日本軍の「慰安所」は実際にあった。そこには日本人の売春婦も居たがたしかに韓国人の売春婦も多くいた。ただその人たちは軍に強制連行されたのではなく、もとからあった韓国の売春制度を日本軍が利用していたのであり、どこの軍隊にもあったのと同じ話なのだと思います。そして現在に生きる我々が、たとえそうした歴史的愚行を倫理的にどう考えるかはまたそれはそれであって、国際的に紛争の種にするような「歴史認識」などでは無いと思います。少なくともナチスのユダヤ人ホロコーストと同列であるかのような国際的誤解が生じていることは、全くのナンセンスです。

こういうことを書くとすぐに慰安婦問題での日本軍を正当化しているかのように受け取る人がいますが、事実に基づかずまた公平でも無いから疑問に思うのです。戦中の慰安所での日本軍の行為で、現在の日本が謝罪や賠償をしなければならないとしたら、日本も今のプーチンに謝罪と賠償を求めるべきなのでしょうか?太平洋戦争末期には南樺太に侵攻してきたソ連軍が、夜間に小屋の暗闇で隠れていた日本人を探し出し、マッチの火で捕虜の顔を照らして若い女性だけを連れ去っていったという証言があります。こちらは慰安所ではなく露骨にレイプなのですが!

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さて問題の発端になった吉田清治は、もう故人ですが日本共産党員でした。戦後1947年に下関市議選挙で共産党から立候補して落選しているそうです。1970年頃は門司で「日ソ協会」の役員をしていたらしい。最近朝日の「慰安婦問題検証記事」がよく話題に出る中で、この吉田清治が日本共産党員だったということは雑誌レベルではよく触れられているが、バランスを重んじてまともに共産党批判などしないTVでは、全く取り上げられない話です。しかし朝日に謝罪を求めるなら、この吉田清治の出自や、その出自たる共産党が「慰安婦問題」について今はどう考えているのかも、やはり聞きたくなります。吉田某って誰?そんな昔の党員のことなど今の共産党には何の関係もないし、「慰安婦問題」にも独自の解釈をしている....とでもいうのならまだしも、実際には、これは今年の3月時点の幹部会委員長の論がこれだからどうしようもない。

「歴史の偽造は許されない――「河野談話」と日本軍「慰安婦」問題の真実」(2014年3月14日 日本共産党幹部会委員長 志位和夫)

今も変わりないのなら、きっと変わりないでしょうが、これじゃあ朝日新聞以下と見られてもしかたありません。ちなみに先に触れた「新報道2001」での小池晃の意見は、まわりと全く咬み合っていませんでしたw

西岡氏の本で最後の方に出てくる話にいくつか気になる点がありました。

まず、例の朝日新聞の植村隆記者の義理の母である韓国の遺族会会長 梁順任が、弁護士費用などと称して会員から巨額の資金をだまし取ったとして、2011年韓国の警察に逮捕されたという記事は確かに大きい問題です。結局朝日が報道した話も「慰安婦問題」をネタにした金儲けにつながっていたのかということですから。そんな決定的な刑事事件があれば、韓国でも眼が覚める人たちが主流になるんじゃないかと思いますよね。ところが昨年今年と韓国の反日論調は変わらないどころか加熱している。いったい背後になにがあるのか。李明博韓国大統領(当時)の竹島訪問にも関連するらしいですが、韓国の左派勢力に根付く北の影の問題です。

韓国遺族会とは別の「慰安婦問題」の訴訟などを支えているもうひとつの団体、「挺身隊問題対策協議会」(挺対協)というのがある。これはバリバリの親北左派団体で、北朝鮮に「朝鮮日本軍慰安婦および強制連行被害者補償対策委員会」(朝対委)というカウンターパート団体を持っているとのこと。

挺対協の常任代表尹美香の夫、金三石とその妹金銀周は1993年に国家保安法違反(兄弟スパイ事件)で韓国当局に逮捕されているが、金銀周の夫、崔キヨンは北朝鮮の工作員と接触しているそうで、朝鮮労働党を「我らの党」金正日を「偉大な将軍様」と呼んでいたのだそうです。これはもちろん幹部個人の問題ではなく、挺対協自体が、金正日の死亡時に力いっぱい「北朝鮮マンセイ」「日帝粉砕」の弔電を打っている。このような韓国内に巣食う新北派(というよりむしろ北のスパイ)が「慰安婦問題」を利用しており、こうした人たちがアメリカで「慰安婦像」をあちこちに立てている韓国系米人にもたくさん居るといいいます。

北は、自分たちこそが本来の朝鮮民族の血を受け継ぐ正統派であり、南のような資本主義思想に侵された国家は浄化すべきだといった国家観民族観を持っている。北朝鮮にとっては韓国と日本がもめることが自分たちに都合がよい。朝対委は実際には朝鮮労働党の工作機関の一つである統一戦線部のダミー組織であるそうな!

吉田のウソ本を信じていなかったとしても、「歴史の真実をねじ曲げず、慰安婦問題の真実と向きあえ」などと言って弱者の味方をしているつもりが、実際にはウラで北朝鮮のスパイに利用されていたんじゃ何してるんかさっぱりです。昔は上記のような志位和夫の談話に対してネトウヨが「売国奴!」などと書きなぐっているのがちょっと言い過ぎに思えたもんですが、国賊呼ばわりされても....ん〜もはや否定できないなーと思うこの頃です。まあ日本共産党も朝鮮総連の金正日追悼式典に市田忠義が出席するような党ですから、どのみち言っても不毛ですけど....

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コメント

今日(9月12日)、朝日vs読売が楽しみです。病院の待合室でゆっくり読もう。

朝日新聞が自分とこの謝罪会見を1面に載せるってのもなんとも妙な感じですね。昨日の報道ステーション(朝日放送)が朝日新聞の吉田調書記事と慰安婦記事の謝罪を特集したのも、何とも歯切れ悪い感じでした。

新聞のほうも古舘の番組のほうも、なんだかんだ言って、吉田のウソ本の影響はウスイ、本質は変わらないから朝日新聞の慰安婦報道の全ては否定できない.....いかにもそう言っているように聞こえました。吉田調書についての誤報もほんとひどい話です。そしてそもそも、吉田調書の謝罪会見の付録みたいに慰安婦報道の謝罪をしたことが納得できません。

吉田のウソ本を朝日が持ち上げてきた問題は、慰安婦問題への取り組み方の初動を誤らせたってことにあると思います。最初に動き出した方向が0.1度狂っていただけで、その先は何10度もずれて行ってしまう。朝日が放置してきた分だけ、その角度のズレが補正しずらいくらいになった。その結果の「クマラスワミ報告」なんじゃないでしょうか。今更TVにクマラスワミ氏本人が出てきて、吉田本の影響は少ないと言っていたけど、韓国の慰安婦村とやらに行っておばあさんたちの話を聞いて一方的に信じただけじゃないですか。もっといろんな立場の学者の意見とか、立場の違う体験者の意見とかも聞けよと。

「読売の朝日批判はえげつない」と、朝日以上に読売の部数が減っているそうです。

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